学校での出合い

恋の終わりの始まり

青リュック

あれは私が高校生になったばかりの、まだ、桜の咲く季節の頃のことだ。初めての電車通学。真新しい制服に袖を通して、新しい何かに期待を膨らませていた。「あ、青リュック。」いつも電車の中で見つける。青地に赤のラインの入ったリュック。彼を見つけるときの目印にしていた。そしてひそかに彼のことを「青リュック」と心の中で呼んでいた。学校に着く前に見つけられると、嬉しい気持ちなった。自分だけの特別な時間。

彼と私

「おぅ、おはよー。」

教室に入る手前で急に後ろから声をかけられたから驚いた。青リュックの彼だった。そう同じクラスなんだ。

「おはよー。」

ちゃんと笑顔で言えたかな?髪型変じゃない?心の中でそう思いながら、彼の目に映る自分を少しでも良く見せたかった。私は、自分に自信がなくて自分からは彼に話しかけることは出来なかった。だって、彼はクラスの人気者だったから。彼の周りにはいつも人がいた。たとえ勇気があっても話しかけるのは気が引けた。

そんな彼と仲良くなれる日が来るのかな。

「今度ライブやるから来てよ。」ある時、彼にライブに誘われた。やったーと思ったら、クラス全員誘っていた。そう、彼はバンドマン。バンドに興味はないが彼には興味がある。絶対に行こうと決めた。でも、一人で行くのは怖かったから友達を誘った。

初めてのライブハウス

薄暗くてよく見えない。音もガチャガチャしてるし、なんだかずっとドキドキしている。ライブハウスってこんな感じなのか。彼のバンドの番が来た。「ワン、ツー・・・。」ドラムのカウントから始まった。大体の高校生バンドは、他のアーティストのコピーをやるものらしい。まったく予習もしないで行ったので、なんの曲なのかもわからず周りに合わせた。一緒に来てくれた友達は、お兄さんがバンドをやってるらしくノリノリだった。初めて彼の歌声を聴いた私は、彼から目が離せなくていつもと違う彼がカッコよくて、そしてとてもドキドキしていた。「彼カッコいいね。」一緒に行ってくれた友達が、隣でそうつぶやいた気がした。

いつもと違う・・・

いつもの電車で彼を見つけた。「あ、青リュック。」と心の中で言っていたら、その隣にあの友達がいた。え?何で?どーゆーこと?私の頭の中はハテナでいっぱいだった。

「今日、彼と一緒に学校に来ていたよね?どーゆーこと?」学校に着いてからその友達に問い詰めた。「あ~、実は付き合い始めたんだよね。この前のライブ見てから好きになっちゃって、すぐ告白しちゃった。」なんという行動力。私にはないものだ。「あのね。・・・ううん、やっぱり何でもない。おめでとう。」と言いながら、笑ってるのに少し涙がこぼれそうになった。私、彼のこと好きだったんだな。この時、初めて友達をライブに誘ったことを後悔した。私に少しの勇気と行動力があったなら、彼の隣にいたのは私だったのかな。今更だよね。

私は、ひとり静かに失恋をした。駆け出したいような、叫びたいような気持ちを静かに抑えた。まだ、蝉がジリジリと鳴く季節が始まったばかりだった。それから、いつもの電車で見かける彼のリュックは、もう青じゃなくなっていた。その子とおそろいのモノトーンのリュックを背負っていた。

666著

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