お客様としての出会い

付き合っていたのは1年半

まだ吐く息が白い季節に君と出会った。

君は店員さん、私は客。

とびっきりの笑顔で「こちらのクーポンはお持ちですか?」それが初めての会話。

クーポンは持っていたけど嘘をついた。理由は関わるのが面倒だったから、ただそれだけ。それでも会話を続ける君「隣のお店で働いてますよね?だからクーポン持ってると思って!」驚いた。

普段は制服を着ていて今日は私服なのになぜ分かったのか・・・。思わず笑ってしまった。レジの数分間でその笑顔に吸い込まれてしまったのだ。

ある日私の職場に買い物にやってきた。少し世間話をして「結婚はしているの?彼氏はいるの?」質問の内容から明らかに私を恋愛対象に見ている事が分かる内容である。もちろんいない。

そして衝撃の事実が分かる。

君は19歳だった。

私は28歳。9歳差・・・。

「同い年くらいかと思ってたよ!」と君は言う。

そんなわけあるか!!私は年下だとは思っていたけどここまで離れているとは思っていなかった。

これは恋愛に発展する事はないね。年下の男の子になつかれた良い思い出として心にしまっておこうと思った。

そして1ヶ月ほどたったある日、君のお店に買い物に行った時「今メモするもの持ってますか?」ない。

けどスマホがあるからメモは出来る。

「090-xxxx-xxxxこれ番号なので着信残してください!今度ご飯食べに行きましょう!」ちょっと舞い上がった。素直に嬉しかった。

だがしかし、流石若い子は押しが強い。その場で着信を残しこの日は帰宅した。

翌日、君は職場にやってきて「LINEに表示されたんですけど、このアカウントであってます?着信残ってなかったんですけど!!」と言われた。

あれ?1コールで切ったのがダメだったかな。

この日から毎日LINEや電話をするようになった。

君のおかげでつまらなかった毎日がカラフルになった。

2週間ぐらいたったある日、本当にご飯に誘われた。年下すぎる為、友人に相談し心配なら2人きりにならないお店を選びなさい。

とアドバイスをもらい居酒屋へ。

私は車、君は未成年の為2人ともソフトドリンクで乾杯。

帰り道、車で送るよ!と言ったのがいけなかった。

「どうしたら彼女になってくれるの?」と散々言われ、私は迷っているから断っていた。

君の家についた時、気付いたら君の顔が目の前にあった。

は?あ!?ここ2人きりの空間だ!私は馬鹿なのか・・・。

でもこれで気付いた。あぁ私は君が好きなんだ。

 

 

 

 

付き合って半年が立った頃、突然別れを告げられる。

数日前に口を聞かなくなる程の喧嘩をした。

内容は本当にささいな事だった。

でも別れの理由は喧嘩じゃなかった。

君は海外への転勤が決まってしまったのだ。

付き合ってから、つまらなかったモノクロの毎日がカラフルになった。

今まで付き合って来た人とは何かが違うと思った。

好きなのに別れなくてはいけないの?

ショッピング、映画、ドライブ・・・君と一緒に過ごした日々が楽しすぎて別れを受け入れる事が出来なかった。

何度も話し合いをして遠距離で付き合っていく事になった。

「一年に一度は会いに来てね。

俺もたまに帰って来るから」そう言って出発した。

会えなくても毎日連絡を取り合ったおかげで寂しくなかった。

1年立ったある日、1週間程帰って来る日があった。

2日間は私との時間を取ってくれると話してくれた。

とても嬉しくて、何をしようか何処に行こうかと考えれば考える程ワクワクした。

でも現実は違った。

君と一緒に入れたのは実質半日、他の日は友達や家族との時間にしていた。

そしてこの日からほとんど連絡を取らなくなった。

何度か聞いてみたら「仕事が忙しい。

返事をする暇もない。でも好きだよ。」

私はどんどん返事がなくなると共に心が離れていってしまった。

君の事は好きだけどもう恋をしていなかった。

別に新しい出会いもないし別れる理由はなかった。

そんな日々を2年過ごした。

ある日友人に相談をした。

「自分を大事にしてくれない人と離れる強さも必要だよ?もっと大事にしてくれる人がいるよ。」別れ話をする事も相当の勇気が必要だ。

嫌いじゃないから尚更悩む。

ふと、こんな事が頭の中を過った。

このまま何も行動しなければ数年後も同じ状態なんじゃないか?それは絶対に嫌だ。

この気持ちが私の背中を押してくれた。

友人への相談から1ヶ月後、別れ話を切り出した。

もめる覚悟で言ったのに返事は「そうしたいならいいよ。

別れよう。」理由も聞かれず呆れる程あっけないものだった。

私が悩んだ数ヶ月はなんだったんだ・・・。

でも君と付き合った事に後悔はしていない。

4年付き合って2年半はまともに連絡を取らなかった。

実際に付き合っていたのは1年半。

とても楽しかったよ。ありがとう。大好きでした。

 

watanabe著

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