きっかけは友人からの一言メール
メッセージは突然に〜送り主は高校の同級生〜

“婚活パーティーに興味ない?”
仲の良かった友達からの突然届いたメールにはその一言だけ添えられていました。
彼女は学校のクラス委員長になって皆をまとめあげたり、文化祭ではダンスを踊って盛り上げたりするムードメーカーのような存在でした。
けれど、たまーによくわからないメッセージが送られてきたり、関係ない写真が送られてきたりするのでどう反応したらいいかわからない子でもありました。
ちなみにメッセージと一緒に送られてきた写真は可愛い子猫の写真で。
いやいや。パーティー行かない?の後の子猫の写真って本当にどういう事なの?
訳がわからなくなった私は思わず、
“どういうこと?”
ってメッセージを返す。すると、
“彼氏と別れたから思い切って猫を飼うことにしたの。今度の休み、私の家に来てよ!”
おぉ…何がなんだかわからないけど行かないととても面倒くさい事になる予感。
こうなった彼女は、誰かに何かを言わないと気が済まないのだろう。
まったく!他の人の前ではしっかり者なのに!
私は”わかったよ!”とメッセージを送って寝ることにした。
直接行って聞いてみた
〜貴女と私と猫とパーティー〜

次の休みの日。
彼女の家に行くと、玄関のドアを開けてくれた彼女の腕の中にはモフモフな毛並みの猫ちゃんがいた。
この猫は最近テレビで紹介されていた種類の…ノルウェージャンフォレストキャットじゃ…。
って違う違う。
猫は可愛いけど私が聞きたいのはメールの内容なのよ。
彼女がマグカップに入ったカフェオレを持ってきてくれたあたりで話を聞いてみることにした。
すると彼女から出てきた言葉がこうだ。
結婚を考えてた相手にフラレたの!
あ、はい…そうですか。それはメールの内容で猫飼い始めたことと一緒に書かれてた事なのでわかります。
いや、彼女に彼氏がいるのは知っていた。付き合いとしては5年は経っていたハズだ。
付き合って5年だったら確かに結婚も考えると思う。世の中には付き合って1ヶ月で結婚しちゃう人だっているわけだし。
「別れた原因は色々あるけどアイツの事を忘れるためにまずはペットショップで見つけたこの子を飼うことにしたの!」
「そ、そうなんだ…」
「そして今度こそ猫好きのいい男を捕まえてウエディングドレスを着るの!」
「あ、元カレさん猫ダメだったのね…」
「そこで!今回は婚活パーティーに行こうと思ったわけなのよ!」
「えぇ…1人で行けばいいじゃん…」
「こういうのは誰か誘って行くもんじゃない!彼氏いないでしょ?」
「高校時代からいないけど地味に心に刺さるからやめてください…」
そうだった。
彼女はちょっと強引なところがあるんだった…。
善は急げよ!って事で次の週末に行われるパーティーに参加する事が決まってしまった。
私婚活パーティーは行きたくなかったのに…
猫ちゃん、君のご主人様はちょっと強引すぎるんじゃありませんか?
お部屋のキャットタワーで遊んでいた猫ちゃんが、「にゃーん」と慰めるように鳴いた。
パーティーが悪いわけじゃないのはわかってるけど…
私が婚活パーティーに乗り気ではない理由

私も、合コンや婚活パーティーを否定する訳ではないんです。
実際、学校を卒業してしまうと男女の出会いって一気に減るんです。
学校の先輩だったり、同級生だったり、部活の繋がりだったりが社会人になると消えてしまうんです。
そりゃあ私だって社会人になってから何回か行きましたよ、合コンは。
どこかの居酒屋で、会社の先輩に誘われて行ったんですよね。
けど、お酒飲んでご飯食べて、話が合えばすぐお付き合いするって訳じゃないんですよね。
そこから連絡先交換して2人で出かけて付き合うとか…結婚するかもしれない相手をそんなんで選んでいいのかなって思っちゃう訳ですよ!
ましてや今回は婚活パーティーっていう合コンよりもハードルが上がっちゃう集まりですよね?
私はそんなんで結婚相手を決めたくない!
なんて言っても仕方がないんですよね…。
そう、もう婚活パーティーは明日に迫ってきてしまったんです。
何を着ていこうか悩んでいると、彼女からのメッセージが。
“考えすぎても仕方ないんだからね!明日は一緒にいい男を捕まえよう!”
との事でした。
はぁ…行きたくないなぁ…
そして迎えたパーティー当日
あれ?思ってたよりも…?

そして迎えた当日。
彼女と二人で向かった会場はちょっとお高めのホテルのレストラン。
既に参加者が何人か来ていて少しだけお話に混ぜてもらうことにした。
「今日の婚活パーティーは、年齢が近い人達のものだからそんなに畏まったりしなくていいと思うよ!」
「へぇ…そうなんだ…」
そういえば私…婚活パーティーに参加する事はOKしたけど内容を全然聞いてないような…
「参加者は銀行員とか保険会社の人が多いみたいよ?」
「え?そんなのもわかるの?」
「今日の婚活パーティーは、スマホで個人情報を入力して登録したでしょ?
婚活パーティーってこんなに疲れるの!?
これから婚活パーティーに行くことを考えてるすべての人に伝えたい。
婚活を行うのは命がけです。
・気に入った男性に押し寄せる女性陣
・自分の人生設計を語りだす男性陣
どっちも圧がすごくて私は隅っこで縮こまっていました。
「(友人はすごいなあ・・・もう狙いを定めてる・・・)」
その時一緒に来ていた友人は、胸に5番の番号を下げた男性と話していた。
このパーティーではあらかじめ自分のプロフィールを登録し、自分のスマホで参加者のプロフィールが自由に見れるものだった。
友人は証券会社の営業マンをロックオンしていました。
一方私は気を遣いすぎたり会場の空気に圧倒されて少し離れたところで参加者たちを眺めていた。正直、放っておいてほしかった。
何人かの人たちと連絡先を交換したりしたが、連絡するつもりはない。
初対面で「何歳までに結婚したい?」「子ども何人ほしい?」なんていう人はお断りである。
もちろん、いいなと思える人はいた。
芸能人にいそうな雰囲気の人や十分すぎる年収の方も参加していて惹かれるものはあったが、女性陣が怖くて自ら身を引いた。
私はもっと、自分が自然体でいられて気を張らずにいられる人がいいのに。
「お腹空きませんか?」

疲れ切った私に声をかけてきたのは、大手企業で働いているサラリーマンの男性でした。
眼鏡をかけている男性。背は普通より少し高いくらい。年収は参加者の中では低めだけど、同年代の中では高い方。言い方は悪いがあまりパッとしない人だった。
「初めて参加したんですけど・・・周りの空気についていけなくて」
突然しゃべりだした彼は、会社の同僚と来る予定だったが食あたりで欠席したらしい。
「この時期にカキを食べたみたいで」
「カキ!?もしかして生で食べたんですか?」
「そうみたいです」
「チャレンジャーですね・・・」
話してみると、トークが特別上手いわけではないけど、なんだか落ち着いて話せる人だった。
趣味嗜好は面白いくらい正反対なのに、会場で出されてたデザートのケーキの好みは一緒で笑ってしまった。
「ここの料理、ちょっと少なくないですか?」
「ええ。物足りないです」
「この近くに昔からやってる老舗のラーメン屋があるんですけどどうですか?」
「・・・ちなみに味は?」
「昔ながらの醤油ラーメンです」
「行きましょう!!」
お互い顔を見合わせて笑った。
パーティーが終わった後、私達は連絡先を交換後、ラーメンを食べて帰った。
お互い顔は好みじゃなかったけど・・・

顔は普通、身長も普通、年収も普通で、趣味嗜好は正反対だけど時々好みが合うこの人は、今でも私の隣で笑っている。
この前は、
「餃子食べたい」
「今日パスタですけど?」
「え?じゃあ食後のデザートは?」
「プリン」
「ならいいや」
って言われてしまった。
結婚して大分経つけど彼が何を考えているのか未だによくわかりません。
最初は嫌だと思っていた婚活パーティーでしたが、結果的に私は幸せになれたので後悔はしてません。
タイプが違う2人でも、絶対に合わないという訳ではありませんよ。
TADA著














