10歳のとき、私は小学校で健康診断を行いました。検査の結果、一生付き合わなければならない「先天性の病気」だということが判明し、自分が病気だということを、その当時はまだ受け入れられずにいました。
数日後、大きな病院の小児科外来へ母親と父親、私の3人で向かいました。病院に到着し、受付を済ませて待合室で待機していると、私の名前が呼ばれました。私は診察室に入り、再度検査をすることに。検査後、再び診察室に入ると病院の先生は「今日から2ヶ月間、入院して下さい」と真剣な表情で伝えてきました。母親と父親は、ビクビクしている私を見て、心配そうな様子で「大丈夫だからね」と励ましてくれました。そして、笑顔の素敵な看護士が「今日からここで2ヶ月間、一緒に頑張ろうね」と声を掛けてくれました。私は泣くのを堪えて「怖いけど頑張ります」と言いました。父親は「生活用品を持ってくるから、少し待っていてね」と私に伝えると、病室を後にしました。知らない場所で心細い私は、母親の顔を見て思いっきり泣きました。
そんな私の姿を見ていた看護士は、隣のベッドのカーテンを開けて「同じ病気を持つ、12歳の子だよ!」と1人の男の子を紹介してくれました。その男の子は、ニコニコしがら「こんにちは、涼太(仮名)だよ!」と話しかけてきました。人見知りのしない活発な性格。私も話の流れにのり、自分の名前を教えました。(なんで病気なのにこんなに笑っていられるのだろう、、)その時はまだ、涼太くんの「気持ち」に気が付いていませんでした。
父親が戻って来ると、母親は「もうお友達ができたみたいだよ」と父親に言いました。すると、父親は「良かったな」と少しホッとした様子。涼太くんは「うん!もう僕たち仲良しだよ!」と言いました。
数日が経過し、病院での生活も慣れてきた頃、お互いの将来の夢について涼太くんと語り合いました。「将来の夢は何?」と私が聞くと「秘密だよ!」と言い、教えてくれませんでした。私は(心を開いてくれてないのかなぁ、、)と少しショックを受けました。
それから1ヶ月間、涼太くんと病気について勉強したり、学校で流行ってる遊びをしたりして、少しずつ心の距離が縮まってきました。1日を重ねるごとに私は彼のおかげで「病院生活が楽しい!」と思うようになっていきました。そんな中、先に入院していた涼太くんは、私よりも1ヶ月先に退院してしまいました。涼太くんは退院する前日、私に手紙を書いて渡してくれました。手紙には「僕の将来の夢はお医者さんになることだよ。病気の人たちを助けたいから頑張るね!」と書かれていました。

彼が退院した後、私は誰もいないベッドに向かって「涼太くん、がんばれーーー!!」と言いました。いつも隣のベッドにいた男の子がいなくなり、私はしばらくの間、悲しい気持ちでいっぱいになっていました。
そして更に1ヶ月が経過し、ついに私も病院を退院する日がやってきました。2ヶ月間、お世話になった看護師に「ありがとうございました!」と挨拶をして、母親と父親、私の3人で病院を後にしました。
あれから長い年月が経過し、気が付くと私は25歳の大人の女性になっていました。私は、よく行くショッピングモールで買い物をしていました。すると、どこかで見覚えのある男性が。その彼は、同じ病室に入院していた「涼太くん」でした。私は「あの、、すみません。涼太さんですか?」と恐る恐る訪ねてみると「そうですけど、、」(誰だろう?)私に気が付いていない様子。私は当時のことを必死に伝えました。彼は「あーーー!!」覚えています!あの時の!」と驚いた様子。思い出話に花を咲かせていると、お互いの職業の話に。「今はお仕事何されていますか?」と聞くと、彼は微笑んで「○○病院で働いています」と教えてくれました。彼は私たちが入院していた病院の先生になっていました。そして、今は結婚もして子供が2人いることも教えてくれました。

彼は会話の中で「俺が病気で生まれてきたことは後悔していません。医者になるきっかけをくれたのも、自分の身体だったから。そんなことより、生んでくれた親にありがとうの感謝の気持ちでいっぱいです」と言いました。私は彼の言葉に心の底から励まされました。病気を持って生まれてきたことが不幸なことだと思っていた私。彼と再会しなければ今でもずっと「私だけ何でこんなに辛い思いをしなければならないの、、?」と思い続けていたでしょう。
彼が、夢を叶えて医者になった事実と、結婚して家族4人で幸せに暮らしているという事実。彼の考え方や生き方が、私を元気づけてくれました。あのとき、彼に出会わなければ自分に「希望」が持てずにいたのかもしれません。「病気だから」の言葉を言い訳に、色々なことへの「挑戦」を諦めていたのかもしれません。
今だからはっきり言えます「生まれてきて良かった」と。そして、小学3年生だった頃の私は、あなたに密かに恋をしていたということを。
“結婚おめでとう”

r678著











