初恋の出会い

心から愛した貴方へ~送る言葉~

19歳の秋

出逢いは19歳の秋。駅のホーム。

「今連絡取ってる彼と初めて会う事になったんだけど二人きりじゃ気まずいから…一緒に来てくれない?」

友人に頼まれて行ったあの日がまさに彼との運命の日だった。

駅のホームで待ち合わせ。
遠くから革ジャンにサングラスをかけた、いかにも強面の二人組が歩いてくる。

「まさかあの人達じゃないよね⁉︎」
「え…そうかも。怖いね…」

友人と小声で話す。

「初めまして!」友人の彼らしき人が声を掛けてきた。(やっぱりそうだ…)

「ども。」その後ろにカクンと首だけでお辞儀する無愛想な彼がいた。友人の彼の友達だ。

私(無口で怖そう…早く帰りたい…)

彼(目が印象的で可愛らしい人だな)

これが二人の初めての出逢いとお互いの印象。
まさか付き添いで来た者同士が今後夫婦になろうとは…

それから何度かダブルデートを重ねた。
彼との距離が縮まるのに時間はかからなかった。一人っ子で箱入り娘だった私に初めて出来た彼氏。自分とは全く違うタイプの彼にどんどん惹かれ何もかもが経験した事のない新鮮な日々だった。

妊娠

彼と話していく中で小さい頃から家庭環境や育ちが複雑だった事、ずっと孤独を感じて生きてきた事を知った。

(彼の支えになりたい。家族の暖かさを知って欲しい)

そんな風に思うようになった。
彼との時間が欲しくて親の言う事も聞かず就職したての会社を辞め、彼のアパートに転がり込んだ。
今思えば若気の至りだ。
両親は相当心配していた。

二人乗りバイクで帰りも決めず自由気まま旅をしていたある時、彼の背中で急な吐き気に襲われた。

「ちょっと気持ち悪いかも…」
(もしかして…)
「大丈夫⁉︎トイレ寄るね」

そう言って彼は近くのドライブインにバイクを停めてくれた。

地元に戻り病院に行った。
結果は思っていた通り。

「おめでとうございます!」

21歳での妊娠だった。
素直に嬉しかった。
彼もビックリしていたけど嬉しそうだった。

「結婚しよう!」

彼の言葉に涙が溢れた。

家を出てから両親とは疎遠になっていて直接伝えづらかった事もあり、手紙で妊娠報告と結婚したい旨を伝えた。正直呆れられたが自業自得。

本家の一人娘

実家は代々続く本家。私は一人娘。
本来は家を継がなければならない身。
でも彼も母と二人暮らしだった。
色々と話し合い嫁ぐ事が決まった。
私は彼と一緒に居たかった。それが全て。

両親が世間体どうしてもと言うので、妊娠中だったが身内だけの小さい結婚式を挙げた。
22歳で無事長女を出産。25歳で次女を出産。
その間に二人身籠った産む事は叶わなかった。

新築を建て犬を飼い、姑と5人家族での生活。
正直姑との関係は悪かったが家族の為に耐えた。仕事に子育てに日々奮闘した。
長距離ドライバーだった旦那は家に居ない事の方が多かったが、そんな中でも家族との時間を大切にしてくれた。
平凡な日常が幸せだった。

 

借金地獄

30代半ばに差し掛かった頃、私は人生で取り返しのつかない問題を起こしてしまった。
ほんの一瞬から始まった多額の借金地獄。
膨れ上がる金額に怯え、誰にも相談出来ないままどんどん金額だけが膨らんだ。
どうする事もできず怖くて怖くてたまらなかった。。

(もう限界だ…)

勇気を振り絞って旦那に伝えた。

「何でもっと早く言わない!!!」
「………………………。」

私は泣き崩れた。

数少ない親戚.旦那の職場にも頭を下げて回り出来る範囲で工面してもらったが、もちろん簡単に返せる額ではない…
自己破産…私一人なら離婚して迷わずその決断だっただろう。
でも旦那は娘達を守る為に何度も何度も銀行へ足を運び頭を下げ融資をしてもらえるよう頼んでくれた。
誠意が伝わったのが何とか融資が決まりキャッシング会社へ返済する事ができた。

自分の心の弱さがこんなにも大変な事態を招いてしまった事を悔やんでも悔やみきれない。

それから年月が経ち、子供達は無事成人。
姑を送り出し、様々なローンを返し終わる目処が立ったある日…

「離婚してくれ」
「情はあるけど愛はない」

そう告げられた私は50歳目前になっていた。
数年前から旦那は宗教的な会に入り夫婦の会話も少なくなっていた。
同じ会に入る女の影も見え隠れしていて私は嫉妬で狂いそうだった。
大好きな彼の根本が大きく変わって行くのが分かった。

離婚はしたくなかった。
でも受け入れざるを得なかった。
全ては自分で蒔いた種。
鬱になった。
娘達がずっと支えてくれた。

離婚してから

旦那と別れて10年。
間もなく還暦を迎える。
ようやく気持ちの整理も付いた。
今は年老いた両親の介護と仕事の日々。
あの時自分の気持ち一つで家を出てしまった後悔と反省、そして沢山迷惑を掛けた両親へ最期まで親孝行したいと思っている。

元旦那は再婚したと聞いた。
借金を作ってしまった時、本当は見捨てられても仕方なかった私を.家族を.本気で守ってくれてありがとう。
貴方の人生に多額の借金を背負わせてしまってごめんなさい。感謝してもしきれません。

第二の人生が素晴らしいものになりますように。心から願っています。

huedou著

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