通勤・通学にて出会う

高校の通学途中でひと目惚れした女子高生が、実は保育園で一緒に遊んでいた子だったなんて. . . .

 

遠い記憶

いつだったか。あれはきっと、小学1年生の僕。

遠くに行ってしまった、会えなくなってしまった、あの子のことを、寂しく思う。

名前も、きちんと思い出せない。どこへ行ったのかもはっきりわからない。

でも、顔と、寂しい気持ちだけは、心の中にしっかりと残っている。

 

高校生

高校生。いつもの変わらない電車での通学。

でもある時から、隣の駅で電車を待つ女の子にすごく惹かれ始める。

 

茶色い長い髪に、ギャルメイク、短いスカート。

電車が止まるまでに流れる景色の中で捉えたその子の容姿は、僕の心を激しく貫いた。

同じ学年ということはわかったが、クラスが違い、話すきっかけも見つけられないまま、月日が過ぎる。

通学中に遠くから眺めるばかりの毎日に、チャンスが訪れた。僕の高校の修学旅行は、選択制なのだが、なんと、一緒の修学旅行先になることができたのだ。名簿から、名前も知ることができた。名前は、アイ。

修学旅行中も、なかなか話すことができなかった。アイが近くにきた。何とか話題を見つけて、話しかけてみる。

僕:「ねぇ、これって僕がするの?」

アイ:「ん?そうね!よろしく頼むねー」

見た目は少しきつそうな印象を与えるが、一言二言交わしたことで、優しい人だというのはすぐに分かった。

修学旅行の後、僕はいろんな友達を介して、アイの連絡先を知ろうと試みた。その過程で、アイには彼氏がいるらしいということが分かった。でも、どうしても連絡先を知りたかった。彼氏から奪って、付き合いたいと思ったわけではなかった。でも、連絡先を知って、もう一度、話したかった。あの優しい声を聞きたかった。付き合えないことは頭で理解している。それに納得もしている。でも、どうしても、その時の僕は、宿命的に、連絡先を知らなければいけなかった。

ついに連絡先を知ることができ、思い切って電話をかけてみた。

アイ:「もしもし?」

僕:「もしもし、わかるかな?ほら、修学旅行で一緒だった・・・。」

アイ:「アハハ!何?どうしたの急に?」

意外なほど、あっさりと、会話してくれた。

それから、アイと連絡する機会が増えた。学校でも二人で会って話したりする機会が増えた。

ある時、アイが言った。

「母親から聞いたんだけどさ、私たちって、同じ保育園にいたことがあったみたいよ。」

全く記憶になく、驚いた。家に帰って、保育園のアルバムを引っ張り出した。そこには、3歳の時、確かに一緒に遊んでいる二人がいた。何かがカチリと音を立てて嚙み合った。遠い記憶が、蘇った。そうだ、この子だ。急にいなくなって、寂しい想いをしたのは、この子に対しての気持ちだった。

それでも結局、アイには彼氏がいて、僕たちの関係は進展することもなく、連絡することもなくなり、高校を卒業することになった。

 

成人式での再会

高校を卒業後、アイのことは忘れられなかった。そんな僕にとって、成人式に会えることを楽しみにしていた。高校の卒業式の後でたまたま会ったアイに僕は言った。

「成人式では会えるかな。アイはきっと綺麗になっているね」

 

成人式当日。会場の前は、たくさんのスーツの人、着物の人であふれかえる。久しぶりの友達と話したり、写真を撮りあったり。

 

 

ふと、アイを見つけた。想像していた以上に、アイは綺麗になっていた。言葉がでなかった。ただその姿を見て、うなずくことしかできなかった。

アイ:「久しぶり」

僕:「久しぶり。元気?一緒に写真撮ってくれる?」

 

結局、成人式も少しの会話と、一緒に写真を撮っただけで、終わってしまった。

 

運命の歯車

高校卒業後、地元を離れて大学に通い、そのまま就職した僕だったが、退職し、地元に帰ってきた。地元に帰ってきて、アイがどうしてるか、気になっていた。年齢はお互い28歳。もう結婚していてもおかしくない。もう地元にいないかもしれない。

ある日、ふと、facebookでアイの名前を検索してみる。

…ヒットした。喜びとともに、すごく怖かった。連絡してみて、もし結婚していたら?この歳だし、結婚していなくても、付き合っている人はいるかもしれない。そうなったら、高校の時みたいに、気軽に声をかけれるような状況ではない。

とりあえず友達申請をしてみる。

すぐに承認の知らせとともに、メッセージが届いた。

『ひさしぶり!元気にしてる?』

そのメッセージからは、変わらないアイの明るさと優しさが伝わってきた。

 

当たり障りのないメッセージのやり取りの中で、アイから質問がきた。

『君は、結婚した?』

この質問のメッセージが来た時、僕は確信した。僕はこの人と結婚するんだ。

そして、気づいた。未来の僕は、高校生の僕に、メッセージを送っていたのだ。

この人と結婚するいつかその時のために、連絡先を知って、運命の糸が切れないようにしておくのだと。

 

 

kaname著

出会い系マッチングサイト情報