学校での出合い

婚約したものの

出会い

二人の初めての出会いは、中学で同じクラスになった時。
私は淡い恋心を光に感じていたが、光の関心は部活動のサッカーに向いていた。
お付き合いが始まるまで、それから11年の月日が必要だった。

高校時代の友人が呼びかけた飲み会で私たちは再会した。
久しぶりの再会に胸がときめく。
光の変わらぬ気取らない立ち居振る舞い、気配りの良さ、何よりも優しい笑顔に
私の気持ちは中学時代にスリップした。

光はちょうど高校時代から付き合っていた彼女と別れたばかりだった。
そんな時、昔なじみの気の置けない仲間との再会は楽しかった。

 

お付き合い

「光君、彼女いるの?」そこは元クラスメート、遠慮はない。
「別れちゃったんだ。」
チャンス到来。「たまには飲みに行ったり遊ぼうよ。」「オッケー。」
気軽な付き合いが約束された。

それからは食事やドライブに二人で時々出かけるようになった。
いつしか、気づけば恋人と呼ばれる間柄になっていた。

婚約

高校時代、光が前の彼女と付き合う前、数人で家に遊びに行ったことがある、
私はドキドキでいっぱいだったけれど、光は頓着していなかったのだろうな、
そんなことを思い出しながら、光の家に行く。
光のお母さんともずいぶんと久しぶりに会った。
私のこと、覚えてくれていた。
家族も皆感じが良くて、居心地が良い。
これなら結婚してもやっていけそう、なんて先走って考えちゃう。

この頃、結婚という言葉が二人の頭をよぎる。気になるお年頃だもの。
なんとなく、そんな雰囲気になっている。

ある日二人で秋風の心地よい高原へドライブした時のこと。
湖の水面を眺めながら「結婚しようか。」
ふいに光が口にする。
驚いたけど嬉しくて「うん。」と答えた。

こうして私たちは婚約をした。

新生活

結婚を半年後に控えて、一緒に暮らすことになったものの、新居探しから難航した。
光は隣県のお役所勤め。いまでも自宅から結構な時間をかけて通っている。
私は舞台女優が主な仕事。都心に近いにこしたことはない。
結局双方の中間地点をとったら、お互いにこれまでよりも職場に遠くなってしまった。

ずっと一緒にいられるとウキウキ気分で始まった新生活だが、現実は甘くなかった。

光は通勤の負担が増えて、帰り時間は遅く、朝は早い。
帰ってくるとヘトヘトで私のご機嫌取りまで回らない。

私はといえば、不定期な仕事なので、家にいる時は朝から晩までずっと一人きり。
やっと帰ってきた光とゆっくり過ごすこともできなくてストレスが溜まる。

休日も、休日こそは二人でゆっくり過ごしたい私と、
一人で疲れを取りたい光ですれ違い。
私一人で頑張っているのに、の私と
疲れ切って一人で過ごす時間が欲しい光。

光から毎日通勤するのに、もう少し職場の近くに引っ越ししたい、
そうなれば心身ともに余裕ができるって言われたけれど、それはできない。
私にとっては現状が最大の譲歩なのだ。

この溝が時間とともに広がっていく。

お別れ

ある日、光からまた引っ越しの話が出た。このままでは仕事に支障が出る、
今のままでは仕事が続かないと。
二人の時間も取れないと。
それはわかるけれど、実際通っている人もいるのだからできないわけがないと私。
私は毎日ではないけれど仕事がある日は、ここまで帰ってくるのが限界。
どこまでいっても平行線。

ついに疲れが溜まり、食欲もなくなってきた光は2、3日実家に帰ると言い出し
ついに帰ってしまった。あの光がそうまでするのだから、本当に限界だったのだろう。

私は私なりに一生懸命二人の生活を支えてきたつもりだった。
私も、もうこれ以上はできない。
こんなに頑張ってきたのに。さみしくて、悔しくて。

光が実家に帰った日、やり切れない思いを抱えながら一人考えていた。
どちらが悪いとかそういうことではなくて、こればかりは仕方がないのではないか。
二人のうちどちらかが転職するなり、仕事を辞めれば解決するのに。
でも、そう簡単には転職なんてできない。
私も本当に頑張ったの。
光も本当に頑張ってくれていたの。

そんなことで心身すり減らしているうちに、
お互いの気持ちもすれ違ってしまって、なんだか疲れた。
自然と涙があふれてとまらない。

2、3日すれば光は帰ってくるだろう。
でも、そうしなければ続けていけない関係なんて意味がないのじゃない?
そんなに無理をして二人でいる意味はあるの?

光が帰ってくる前に、私は家を出ることにした。

こうして私の初恋からの恋は、婚約破棄で幕を閉じた。

 

 

 

o652著

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