面白い出会い

彼女にフラれ、虫歯にもなった僕をどん底から救ってくれる女神が現れた!

昨日、彼女に振られた

泣いている, 泣く男, 悲しみ, 泣く, 悲しい, 涙, うつ病, 意気消沈した, 男性, 絶望, 怖い

彼女が入社したころから、先輩だった僕がサポートをすることが多く、なにより彼女の見た目が僕のタイプだったのもあり、大きなプロジェクトがひと段落したタイミングで告白した。それから、3年間付き合い、そろそろ結婚も視野に入れていた時期だというのに。

 

「S君と一緒に仕事をしているときはすごく頼りがいがあるけど、仕事を離れて2人でいるときもそんな感じだから、一緒にいるのが疲れるというかしんどいというか」

だそうだ。僕からすれば、プライベートも頼りがいがあって何が悪いのか、『疲れる』も『しんどい』も同じじゃないのかといろいろ思うところはあったが、言葉とは裏腹に決意が頑(かたく)なだというのがわかり、僕は別れを受け入れた。

 

そして、今日

僕は歯の激痛に悩まされている。数年前に虫歯治療の詰め物が外れてそのまま放置していたのだから、当然なのだがタイミングが最悪だ。まさに自業自得。泣き面に蜂だ。

あまりの痛みに仕事も手につかないので、自宅近くの歯医者の予約を取り、早退した。

 

歯医者ではまずはレントゲン撮影と診察があった。担当の先生は僕と同年代の女性だった。ダークブラウンの短めの髪形、少し意志の強そうな目鼻立ち、白衣の似合うすらっとした体形。「家の近くの歯医者にこんな綺麗な先生がいたんだな」と歯の痛みに耐えながらもそんなことを思った。一方、先生の方は少し深刻そうな表情。

「詰め物が取れてから、どれくらい放置していたんですか?」

「はっきりとは覚えてないですけど、3~4年前かな?・・・そんなにヤバいですか?」

「この歯以外にも4・5本ありますからね。」

先生は「この歯とこの歯と・・・」とどんどん列挙していく。

「歴代で言うなら」

「歴代で言うなら?」

「控えめに言って最強レベルです。とりあえず、半年は覚悟して諦めないでくださいね。」

と深刻な診断内容からは結び付かない、ユーモアを交えて話す先生。

虫歯というジャンルで最強の称号を戴いた僕は、不謹慎ながらも少し楽しそうに説明する先生に対して悪い気はしなかった。むしろ、気の強そうな(冗談の通じなさそうな)ルックスと意外なユーモアとのギャップに心惹かれるものがあった。

虫歯が痛くて仕事にならないサラリーマン

しかし、いざ治療が始まるとそれどころではなくなった。「歴代最強レベル」の虫歯は想像以上に手強く、治療に何週間もかかった。それがあと4本もあると思うと、気が滅入りそうだった。

ある時は2時間治療が続き、終わったころにはあごが閉まらなくなってしまったこともあった。

「はふぉは、ひわららい!」(あごが、しまらない!)

と柄にもなく焦ってしまったが、先生は落ち着いて直してくれた。

(歯医者の先生はあごの治し方も知っているんだな)と感心しつつ、あまりの自分の格好悪さに自己嫌悪した。

それでも何とか通い続けられたのは、綺麗な先生の独特の冗談を聞けるという楽しみがあったからだ。さらに、あわよくばもっと仲良くなりたいという下心があったのも否定できない。

治療を続ける中で、先生との会話も増えていった。

年齢は僕の1つ下の29歳。これには「年下の女の子にこんな格好悪いところを見せていたのか」と自己嫌悪がさらに深まってしまった。

感情を表に出すのが苦手。でも、お笑いとかは好きで冗談を言うのも好きだけど、その見た目も相まって「本気で言っているのか、冗談で言っているのかわからない」と周囲から揶揄されることが多いのが悩みであること。これに激しく同意したことは内緒だ。

1番の朗報は今は彼氏がいないということ。これは僕にとってはチャンスだが、毎度毎度みっともない姿を見せている僕にチャンスがあるとも思えなかった。

thanks! paper and black pen on wood surface

そして、治療開始から半年後。ついに全ての歯の治療が終わった。歴代最強レベルといわれた僕も晴れて村人Aにまで戻れたわけだ。半年間の治療が終わり、僕も先生も達成感のようなものを感じていた。

「今まで長い間ありがとうございました!今度はひどくなりすぎる前にきますね。」

「その前にもう虫歯にならないようにしてください!」

いつもと同じノリのやりとり。これでめでたしめでたし。

 

けれど、一つだけ心残りがあるとすれば—

だけど、半年間もの間、みっともない姿を見せ続けてきた僕にはその先を口に出す自信がなかった。

 

「もし、良かったら打ち上げも兼ねて食事にでも行きませんか。」

彼女から出た思いもしない言葉に僕は

振り向いた、彼女の顔を見ると少し頬を赤らめていた。

「恋人つなぎの男女」の写真

さらに半年後

あれから僕たちは何度かデートを重ね、もっとたくさんの話をして、お互いを知り、今度は僕の方から彼女に告白した。彼女は笑顔で頷いてくれた。

後日、僕は気になっていたことを彼女に聞いた。

「あんなに格好悪いところばかり見せたのに、なんでご飯に誘おうと思ったの?」

少し考えて彼女は答えた。

「あんな姿を見せてくれたから、私も私のダメなところをあなたに見せてもきっと受け入れてくれるかなって思ったの。そうじゃないと一緒にいてしんどいもの」

 

1年前の元カノの言いたかったことが今やっとわかった。

 

そして、今の僕たちならきっとお互い無理せず、しんどくないようにずっと一緒にいられると確信を得た。

 

sakai著

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