職場での出会い

憧れの人

ユミはショッピングモールの雑貨屋さんでアルバイトをしている大学生だ。いつもアルバイトがある日を楽しみにしている。なぜなら隣のお店で働くお洋服屋さんの店員さんが気になっているからだ。

気になるといっても挨拶をかわすくらいしかしないので、名前も年齢も知らない。ただ大学生という雰囲気ではないので、年上ではありそうだ。

ユミはその男性店員と関係を深めたいと思っているわけではなく、1日に1回でも見かけたり挨拶ができたらラッキーだなくらいに思っていた。ただその男性店員と他のお店のおしゃれで可愛い店員さんが話しているところを見かけると、きっと彼女いるんだろうなと想像して落ち込んだりしていた。

 

ユミがアルバイトをしているお店にはリョウという大学生の男の子がいる。ユミはリョウに隣のお店の男性店員が気になっていることを話した。するとリョウも確かにかっこいいよねと同意してくれた。それから時々2人でその男性店員の話をするようになった。

それからしばらくするとリョウが「このあいだ、あの店員さんと喫煙所で会って話しかけてみた!」と興奮気味にユミに言った。ユミも興味津々にその話を聞いた。どうやらリョウはいろいろと聞いてきたみたいだ。名前はコウタといい、年齢は23歳で社員さんということが分かった。喫煙所にいる短時間で初めて会話する相手にそこまで聞き出せるリョウのコミュニケーション力に感心した。

その後リョウはコウタと喫煙所などで会うたびに会話をする仲になったらしい。そこで聞いたことをユミにも教えてくれた。中でもユミが知ることができて嬉しかったのはコウタに彼女がいないということだった。

リョウからは「ユミは可愛いんだから、コウタさんにアプローチすればいいのに」と言われたがそんな勇気はなかった。あんなに素敵な人から見たら年下の大学生の自分なんて眼中にないだろうし、他に自分なんかよりおしゃれで可愛い人はたくさんいると思ったからだ。

 

そのまま数ヶ月が経ったある日、ユミは閉店後の掃除をしていた。ショッピングモールも閉店して従業員しかおらず、シーンとしていた。そんな時に「お疲れ様です」という声がした。パッと顔を上げるとコウタがいた。ユミは驚きながらも落ち着いて「お疲れ様です」と返事をした。いつもならそれで終わりだがその日は違った。

「今日リョウくんいますか?」とコウタがきいてきたのだ。ユミはドキドキしながら「今日はお休みです」とだけ伝えた。それにそうなんだ、ありがとうございますとコウタは笑顔で答え、お店のほうに戻って行った。ユミは初めて挨拶以外の会話ができた嬉しさと、どうしてもう少し会話を続けられなかったんだろうという後悔があった。

それから数日後、リョウから「コウタさん、転勤になるんだって」と聞かされた。ユミは動揺し、いつ?どこに?と聞くと約1ヶ月後には新幹線で3時間ほどかかる遠い県へ転勤するとのことだった。

この前に少し会話ができて喜んでいたのにこれで終わりかとユミは肩を落とした。リョウは最後にコウタとご飯を食べに行く約束をしたと言うので、楽しんできてねとだけ伝えた。

 

さらに数日後、夜にリョウから連絡がきた。めずらしいなと思いながらスマホの画面をみると『コウタさんがユミの連絡先知りたがっているけど、教えてもいい?』と書いてある。ユミは夢をみているのかと思った。何度もその文章を読み直して、勘違いではないことを確認する。『もちろんいいよ!』と返事をし、顔がどんどんニヤけてくる。だが時間が経つとどうして他のおしゃれで可愛い店員さんではなく、自分の連絡先を知りたいのだろう。自分が期待しているような理由ではないのかもしれないとどんどんネガティブな感情が出てきた。

すると少し時間をおいてコウタから連絡がきた。『リョウくんから連絡先を教えてもらいました。よろしくお願いします』と当たり障りのない内容だった。『こちらこそよろしくお願いします』とユミも当たり障りのない内容で返す。すると『よかったら今度ご飯に行きませんか?』と食事のお誘いをうけた。ユミは喜びのあまり持っていたクッションに顔を埋めて悶絶した。これは期待していいのかな?と思い、『ぜひ行きましょう!』と返事をする。

そして数日後に食事の約束をしてその日はやりとりを終えた。ユミはとても楽しみにしながらも、約1ヶ月後にはコウタが遠くへ行ってしまうことがとても不安だった。これからどうなるのか期待と不安を抱きつつ、約束の日になった。

 

708著

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