中学生の頃からの最も古い友人は、驚くほどに明るくて、男女関係においても恐れを知りません。
目立つのが苦手で、常に人の顔色をうかがうような私とは対照的で、なんで私はこの友人と仲がいいのだろうと、これまで何度も思ってきました。
友人がどれほど恐れ知らずかというと、中学生の頃、修学旅行でユニバーサルスタジオジャパンに行ったのですが、私とその友人は仲が良かったので同じ班で行動していました。
ターミネーターのアトラクションでは、毒舌トークで有名な綾小路麗華がどこから来たのかを挙手した客に問うという一幕があります。
そこへ向かう途中から、友人に「手挙げてよ。当てられたらピッコロ星って答えて」とわけのわからないことを言われ、目立つのが大の苦手な私にはそんなこと天地がひっくり返ってもできません。
「絶対いやだよ」と切り捨てて、同じ班の子からも「シケるから絶対やめて」と諫められ、当然冗談の話だと考えていました。
しかし、友人は実行したのです。
修学旅行なので同じ学校の人たちもいるであろう大勢の前で、自信満々に両手を挙げていたのが目に入ったのか、綾小路麗華から指名され、無駄に大声を張り上げ、盛大に場を白けさせて、平然としていたのです。
あの頃から友人は私とは遥かに違う感覚で生きている人なのだと思っています。

バイト先で逆ナンする友人
大学生にもなると、私も友人もバイトに勤しむようになります。
私は本屋、友人は飲食店で働き、それぞれ進学先は違いますが、地元が同じため、最寄り駅でバイト終わりに落ち合うこともありました。
互いに定期的に連絡を取り合って近況を話すのですが、友人は男友達がとても多く、恋人が欲しいという願望が強いらしく、会うと必ず彼女の気になっている男友達の話になります。それが複数人いることもありました。
彼らがどんな人間なのかを密に話してくれるし、写真まで見せてくれるので私は会ってもいない男性についてとても詳しく知ることになります。
ある日、友人はいつものように、私にある男友達について話すようになります。
どうやら彼女の好きなアイドルグループのメンバーに激似だとか言って、写真も見せてくれました。
確かに、似ていなくもない整った顔立ちで、背も高く、少し面食いな所がある友人は夢中になっているようでした。そんな彼とLINEでやり取りすることが、友人は楽しいそうでした。
どういう関係性なのか聞くと、バイト先で出会ったというので、同じバイト仲間なのかと思えば、どうやら彼は客だそうです。
これは、私の感覚ではありえないことなのですが、友人は店員の立場で客に対し、いわゆる逆ナンを成し遂げていたのだそうです。
もちろん、女性から男性にアプローチをかけることがおかしいと言いたいわけではなく、それがバイト先で、勤務中に客から連絡先を聞き出すということが、私の常識ではありえなかったのです。私なら
上司や先輩に見られたら怒られてしまうのでは・・・
と頭をよぎるか、そもそも相手がかっこいい男性だとしても、面識のない男性客から連絡先を聞き出すことなんて私には絶対にできません。
そしてなにより、同じ接客業をしていましたが、人手も少なく勤務中仕事に追われていた私からすると、客と談笑する余裕のある友人にとても驚いたのです。

友人の本命
そんな友人には本命といえる男友達がいました。
彼とは大学で出会い、仲良くなったそうなのですが、聞くところによると非常に仲睦まじく、二人で魚を釣りに行ったり、一緒に香水を作ったり、傍から聞いているとすでに付き合っているかのような交流をしているようでした。
バイト先で逆ナンした彼に対しては、飽くまでも憧れのような印象を受けましたが、大学で出会った彼は友人と常に距離的にも心理的にも近くにいるかのようだったのです。
友人から間接的に彼の話を聞く限りでは、友人は確実にその男友達が好きなようでした。
しかし、その男友達がどう思っているのかは私には判別がつきませんでした。男女のデートのようなことはするけれど、まだ友情の範疇だと言われてしまえばそうとも思えてしまいます。
ある日、友人はついに本命の彼へ告白をしたと私に報告してくれました。
結果は「友達としてしかみれない」と振られてしまったとのことでした。

なぜか恋人ができない友人
私は中学の頃から友人を知っていますが、彼氏がいた瞬間を見たことがありません。
こんなにも恐れ知らずで、こんなに異性に対しても積極的な友人に何故彼氏がいないのか、私には不思議でなりませんでした。
客に逆ナンを仕掛けて、ちゃっかり連絡先を手に入れられるような女性なのですから、異性から拒絶されるようなタイプではないはずなのです。
ですが、逆ナンした相手と最終的に付き合えたという報告はついぞ聞いていません。
なぜなのか。
私はひとつの結論にたどり着きました。
彼女の好きになる相手はどちらかというと草食系男子ばかりなのです。
私には彼らの気持ちが理解できるような気がしました。
友達として彼女を傍から見ている分には面白いけれど、恋人となるには友人はあまりに制御が難しい存在なのかもしれません。
いつか彼女に、ふさわしいパートナーが現れることを祈っています。
687著





























