言葉の違うあなた

正直、あなたとどう知り合ったかはあまり覚えていない。私は学生で、留学中で、たくさんの人と友達になりたいと思っていたから。
誰かが「留学で価値観が変わったなんて言う奴は狭い世界の人間だ」なんて言うのを聞いた事あるけど、その通りだと思う。
留学先で得た経験は、私の価値観を変えたし、そんな私の世界はものすごく狭かったんだろうなって今なら感じる。
あなたもそんな狭い世界で生きていた私の世界を広げてくれた人だった。
しょっちゅう開かれる異文化交流のパーティだったと思う。たくさんの人がいる中で、言葉の違うあなたと出会った。大騒ぎしている中でなんとなく話すようになって、なんとなく連絡先を交換して。
そこから実はお互いの友達同士が知り合いだって事がわかって、時々遊ぶようになって。
2人で遊ぶようになったのはいつからだろう。最初は私のお気に入りになったミルクティーのあるカフェに誘ってくれたね。あなたはとても日本語が上手で、よくわたしのたどたどしい外国語の練習に笑顔で付き合ってくれた。
私は2人で会うのは言葉を話すのに必死で逆に緊張しなかったんだけど、あなたはどうだった?
優しいあなた

告白してくれた時の事はよく覚えてる。
日本と違って外国には告白っていう文化はないのに、あなたはちゃんと調べて、言葉にして私に伝えてくれたね。本当に嬉しかったよ。
付き合い始めてからは、あなたのとても優しいところに本当に驚いてばかりだったよ。
私より年上っていうのもあったからかな。いつも余裕があって私を導いてくれた。でもどこかお茶目な部分もあったりして、私は笑ってばかりだった。
私が大学での大きな試験期間を乗り越えた時、あなたは帰り道で私を待っていて、びっくりして「どうしたの⁉」って駆け寄る私にクラッカーを鳴らして、
「テスト本当にお疲れ様!君なら頑張れると思ったよ。おめでとう!」
道端で盛大にやるもんだからいろんな人に見られて、道にクラッカーの紙吹雪が散らばって、2人で慌てて拾ったよね。なんだか妙に面白くて笑いが止まらなかったよ。
私が日本に帰ってからも、手紙やプレゼントたくさんくれて、私が欲しいって言ったそっちでしか買えないお菓子やお酒なんかも送ってくれて。
誕生日には傍にいられない自分の代わりに、「僕の代わりに君を守るよ!」ってメッセージ付きの犬の人形をくれた時、あなたのそのちょっとお茶目な優しさに涙が出たよ。
私の事ばっかり考えて、いつも私を笑わせてくれようとしたあなた。こんなに優しいあなたに出会えてとても嬉しかったよ。今思うと私は貰ってばかりだったね。
愛してくれるあなた

あなたは本当に私を愛してくれた。
人ってこんなに目に見える形で愛情を示す事ができるんだってあの時初めて知ったよ。
何をするにも私優先で、いつも私の事を見ててくれた。何かのパーティの時に、友達に「あんたの彼氏パーティの間中本当にずっとあなたの事を見てたね」って言われた時は、さすがに恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
贈り物にもデートにも、1つ1つ私の事を考えてくれてるのがよく伝わってきたよ。勉強中の私でも見れるような映画を調べてくれて一緒に行ったり、私が好きそうなイベントはいつもチェックしてくれてて、よく出かけたね。
でも少しおっちょこちょいなところもあって、いったイベントは開催日がずれててやってなかったり、送ってくれたプレゼントは包装が甘くて少し壊れてしまっていたり。
私は全然気にしてなかったけど、そういう時あなたは顔を真っ青してどうにか挽回しようと、物凄く慌ててた。今だから言うけど実はその様子がちょっと可愛くて、「大丈夫だよ」って言うのをちょっと溜めてたりしたんだよね。
怒ったかな?。いつもは余裕なあなたが私の為に慌ててるのが嬉しくて。
あの時は本当にごめんね。
愛せなかったわたし

でも、いつからだろう。そんなあなたからの愛を、私が受け取れなくなったのは。
元々照れ屋であまり素直になれない私は、あなたからの大きくてわかりやすい愛を上手に受け取る事が出来なかった。
いつも言葉にしてくれるあなたと同じように返せない私に、あなたは「大丈夫。君が恥ずかしがりで言葉にするのが難しいのはわかってるよ。無理して言わなくても伝わってるからね。」そう言って、本当にどこまでも優しい言葉を伝えてくれた。
あなたはそう言ってくれたけど、私はそんなあなたの愛に胡坐をかくなんて事はしたくなくて、優しくて素敵な愛をくれるあなたに同じ愛を返したかった。
たくさんの愛をもらって、もらって。それを上手に返す事ができない私の、あなたへの愛は、少しずつ「罪悪感」にというものにすり替わっていった。
愛をもらう度に、これではいけない、あなたにばっかり。私だって同じように、彼への愛を示さなきゃ。そう思えば思うほど、伝える事が難しくなった。
申し訳ない気持ちでいっぱいで、こんなにたくさんの愛をくれるのに反せない私はなんてひどい女なんだろうって思った。こんな私があなたに愛されていていいのかなって。
今思うと私はひどく子供だったのだと思う。うまく気持ちの表現ができなくて、自分で自分の気持ちを壊してしまった。
そしてあなたに別れを告げた。いっぱいいっぱいだった私は、自分の気持ちもあなたの気持ちも、壊してしまった。
あなたへ

あれから数年、あなたは元気にしていますか?
遠い国で、誰かと幸せを築いているのかな。
そうだったらとても嬉しい。
私はあなたを本当に傷つけた。本当にひどい事をした。あんなに素敵な愛をくれたあなたに、子供だった私はとても残酷な事をしたと思う。
あなたは私にもう2度と会いたくないかもしれないね。
でも、それでも、もし、いつの日か会えたら。
あなたにはまず謝るつもりです。こんな謝罪いらないかもしれないし、自己満足だって言われるかもしれないけど、それでもあの時あんな別れ方をしてごめんなさいって言わせてほしい。
そして1番はありがとうって言わせてほしい。
優しくしてくれてありがとう。たくさんの愛をくれてありがとう。私の恋人になってくれてありがとう。
いつか会えたら、そう言って、お互いの恋人なんか紹介したりして。
そうして一緒にあそこのお店のミルクティーが飲めたら。そう思ってる。
nlfdkgyy著













