好きな人より好きな人ができる。
お付き合いをする前であれば、問題のないことだとは思う。
私が大学生のころ、好きな人より好きな人ができて、とても気まずい思いをしたことがある。
この気まずさは何年もたった今でも忘れたことはない。
はじめてできた友達
私が入学した大学に、同じ高校から進学したのは私だけ。
入学式の日、周りは同じ高校の友達と楽しそうにしていて、ひとり不安でたまらなかった。
私の通っていた経済学部は9割が男の子。
入学式で見かけた数少ない女の子たちはもう既に友達のようだった。
友達ができずに大学生活が終わるのではないかという不安と、知り合いのいない寂しさで、入学式の日は一人暮らしの家のベッドで涙を流したほどだ。
そんな私に初めてできた友達は男の子だった。
すぐに好きになる
初めての授業の日。
方向音痴な私は広い大学で教室までたどり着けるかが不安で、早めに家を出た。
無事に教室を見つけることができたものの、まだ前の授業をやっているようだった。
廊下で待っているとひとりの男の子が話しかけてきた。
素朴で少しなまっている優しそうな人だった。
話をしていると、彼も大学に知り合いがまったくいないそうだった。
同じ境遇の人と出会えたことが嬉しくてたまらなかった。
友達ができずに終わることがないことにも安心もした。
その日は一緒に授業を受けてメールアドレスを交換した。
それからはその子と授業がかぶっているときは一緒に授業を受けるようになって、毎日メールをした。
彼と話すのが楽しくてしょうがなかった。
メールをしていると見た目通りの優しくて真面目な人と分かって、出会ったばかりなのにすぐに好きになった。
きっと相手も私のことが好きだったと思う。
好きな人よりも好きな人
それから数週間後、学校にも慣れてきた頃。
私にも女友達ができ、彼にもいつも一緒にいる友達ができたようだった。
いつのまにか一緒に授業を受けることもなくなっていた。
でもメールはずっと続けていたし、ゴールデンウイーク、地元に帰ったらお土産交換しようねって話をしていた。
メールをすることは相変わらず楽しかったのだけど、私の心に変化が起きていた。
ちょうど同じころにはいったサークルで出会った先輩のことを好きになっていたのだ。
大学1年生にとって、2年生の先輩たちはキラキラして見えた。
その先輩はずっとふざけていて、人を笑わせるのが好きな人。
新入生の私たちをいつも笑わせてくれた。
彼とは真逆の人だった。
授業を受ける時間よりもサークルで過ごす時間の方がそのころは長く、はじめての飲み会や先輩たちと車で遊びに行くこと、すべてが刺激的だった。
いつの間にか彼よりも先輩のことが好きになっていた。
気まずいお土産
そして、ゴールデンウィーク。
私は約束通り、彼にお土産を買って帰ってきた。
彼も「お土産買ってきたよ」なんてメールをしてくれていた。
ゴールデンウイーク明け、彼に会うよりも先にサークルの飲み会があった。
そこで好きな先輩と話していたら「お土産ないの?」と言われたのだった。
先輩は私の地元の名物菓子が好きなようだった。
それは私が彼に買ってきたお土産と同じものだった。
バカな私は先輩に好かれたくて、そのお土産を先輩に渡してしまったのだった。
そこから授業で彼を見かけるたびに気まずくなって、避けてしまっていた。
メールにもあまり返信しないようになっていた。
気がかりではあったものの、もうこのまま時間が過ぎてお土産なんてなかったことになればいいと思うようになっていた。
そんなとき、授業の前に友達と話している私に彼が話しかけてきた。
「お土産、賞味期限切れちゃうから渡すね。」
かなり気まずかった。その話を知っていた友達たちも気まずそうにしていた。
「ごめん、お土産は別の人に渡しちゃった。」
彼は「ぜんぜんいいよ。」と言って、お土産をくれた。
私の大好きないちごのお菓子だった。
申し訳ない気持ちと気まずい気持ちでたまらなくなった。
いまでも忘れることのない気まずさ
その日以降、彼とメールをすることも話すことも一切なくなった。
先輩とも結局付き合うことはできなかった。
今になっても、彼に悪いことをしたなと思うことがある。
あのときの気まずさはいつまでたっても忘れることはない。
srifslj著





























