久々のクラブ

「今日も行っちゃう~??」
久々にオフィスの外でA美とランチしていた時だった。
「もうさ、部長いちいち細かくてやってらんないんだよね~ぱ~っつと騒ぎに行こーよ!」
「そうだねぇ…行こっか!久々に!」
私とA美は同期だ。
私は専門学校を卒業、A美は大学を卒業してこの会社に来た。
2つ年上のA美は明るく活発な女子で普段の遊び方もなかなか派手だ。
そんなA美に誘われて数か月前初めてナイトクラブに行った。
洋楽は元カレの影響で少し聞くようになっていた。
初めは雰囲気になじめなかったものの、お酒に酔った状態で自分の好きな曲が流れた時の楽しさにはまってしまった。
久々にまた行きたいな。とぼんやり思っていた矢先に今夜A美とまた行くことが決まった。
彼との出会い

今夜もA美の行きつけの西麻布のクラブだった。
終電も過ぎた時間だったからか、ほろ酔いの男女ですでに溢れていた。
「は~!やっぱ金曜夜のお酒はサイコーだね!」
A美が一発目のテキーラを勢いよく飲む。
数回目とはいえまだまだこの雰囲気に慣れない私もA美においてかれまいと、テキーラを飲み干す。
ーあ~、やっぱりこのテキーラの味苦手…
そう思いながらも軽く酔いが回ってきた。
ーこのまま酔っ払ってくれれば緊張も少しずつほぐれてくるだろう。
そう思い、A美に手を取られ2人でわちゃわちゃと楽しく踊っていた時だった。
「あっ、ごめんなさい」
A美が細身のスーツの男性とぶつかった。
「大丈夫?ごめんね、もしよかったら一緒に飲まない?」
そう声を掛けられ(ごめん、ちょっと行ってくる)というアイコンタクトをしてA美はバーへ行ってしまった。
ーさすがだなぁ。
A美は派手な見た目とノリの良さもあってかすぐ男性に声をかけられてしまう。
1人でどうしようかなぁと思いながらも良いに任せて軽く踊っていた時だった。
「踊るの好きなの?上手だね」
その声の方を見てみると、身長はそこまで高くないものの、私のタイプど真ん中の顔の男がいた。
「えっ、あぁまぁ好きかな…?」
誰にも見られていないと思って踊っていた手前、見られていたという事に気づき恥ずかしくなった。
しかもこんなドストライクな人に。
「1人で来たわけじゃ…ないよね?」
「も、もちろん!友達が男の人とバー行ってはぐれちゃって」
「まじか笑 俺も友達とはぐれちゃったんだよね!友達見つかるまで一緒に踊って待たない?」
恥ずかしかったものの、こんなイケメンといられるならもちろん!と承諾した。
少し踊ってのどが渇いたので2人でバーに行った。
彼はとってもほめ上手で、おちゃらけたりするところもあり話をしていて楽しかった。
その時だった。
「ごめんね~!あれ、男といるじゃん!」
A美と先ほどのスーツの男性と再会した。
「えっその子、友達?」
「まじかよ!」
どうやらA美に声をかけた男性が彼の友人だったらしい。
思いがけない偶然にお互い笑った。
すっかり意気投合した私たちは、4人で途中クラブを抜け出し居酒屋へ移動した。
A美のスーツ君は、どうやら美人に目がないらしい。
A美を選んでいる時点で納得がいく。
A美自身は特に彼がタイプってわけではないようで、いまいち盛り上がっていない様子だ。
私のドストライクな彼は、すっかり酔っ払ってぐいぐいアプローチしてくる。
「もう2人でやっとけよ~」とヤジが飛んでくる。
わたしも正直まんざらでもなかった。
その後始発電車に合わせて4人で駅へ向かった。
「ね、また遊ぼうよもしよければ2人で」
駅に向かいながら2人になったタイミングでそう言われ、連絡先を交換しお別れをした。
彼と1回目のデート

後日。
次の週の金曜、仕事終わりに新宿で飲みに行くことになった。
少し彼は早く着いていたようで、待ち合わせ場所で目が合うと笑顔で迎えてくれた。
「おつかれ。2人で飲めるの楽しみにしてた。行こうか」
そう言って彼が調べてくれていた居酒屋へ行った。
彼は筋トレをしているからか、がっしりとした体格でダウンがよく似合っていた。
そんな彼の隣を歩いているだけでなんだか幸せな気持ちになってしまう。
「嫌いなものない?」
そう言ってオーダーを取ってもらい、恋愛の話になった。
「年上の人が好きなんだよね」
彼が言った。
彼は私の1つ年下だった。
私はいままで同い年か年上のひととしかお付き合いしたことがなかったので、私としてはたった1つの年の差でも年下に対して少しハードルがあった。
「年上のどんなところが好きなの?」
「う~ん、なんか年下とかだと幼かったりするし、俺、かまってちゃん苦手なんだよね」
「なるほどね~、でもまぁ年関係なくかまってちゃんはいそうだけどね?」
「今までの彼女ほとんどメンヘラになっちゃうんだよね、なぜか」
この言葉に少しひっかかるものがあった。
女子がメンヘラになるには2通りあると個人的に思っているからだ。
1つ目はもともとメンヘラであること、2つ目は男の性格でメンヘラになってしまうということ。
一体歴代彼女はどっちなんだろう?とふと考えた。
彼と2回目のデートで気付いた自分の気持ち

あの夜は考えることはあったものの、一晩中楽しく飲み明かした。
その後もメッセージは続き、また翌週飲みに行くことが決まった。
今度は錦糸町だった。
錦糸町は小さいころおばあちゃんとよく遊びに来ていた場所だった。
「いや~やっぱ美人と飲む酒はうまいね~」
「やだ、何そのおじさんみたいな発言笑」
「いや、俺おじさんだし」
「私より年下でしょ?やめてよ笑」
本当に面白い人だなぁと笑いあいながら、楽しくお酒を飲んでいた。
そしてふと、また恋愛の話になった。
「いや~忙しいのに俺なんかと飲んでくれてありがとね」
「何?急に」
「いや、お誘い多いんだろうな~と思って」
「そっちこそモテモテで忙しいんじゃないの?笑」
「そんなことないよ笑 というか俺、今彼女正直いらないんだよね~」
この一言で確信した。
ーあぁ、やっぱり友達だよね。
あんなにタイプだと思っていたのに、そこまでがっかりしなかったことに我ながら少し意外だなと感じた。
それと同時に素直に私も。と思った。
彼とこの2回のデートの中、最初は彼からの好意を感じていたものの、最近メッセージの頻度も少なくなり扱いもそれっぽくなっていたからだ。
そしてなんとなく、彼の行動を見ていて元カノたちがメンヘラになる理由が分かった。
この日を境に、彼とは仲のいい飲み友になった。
実はあの時は惚れかけたんだよっていう事をネタにして。
kumi著













