学校での出合い

見て見ぬふりをした憧れの人の真実

 

 

 

出会い

 

これは私がまだ学生の頃、初めて恋というものを経験した話です。

当時、私はとある定時制高校に通っていました。一般的な全日制の高校と違って、定時制という所は、ルールというものはほとんどないに等しく、とても騒がしい場所でした。私は、昼間は飲食店でアルバイトをして、夜は定時制で勉強をしていました。元々低血圧で朝が弱くきちんと起きられない私にとって、多少自由度が高く騒がしい場所でも、しっかり勉強ができて好きな部活に打ち込める定時制は、性に合っていたと思います。

そんな中、同じクラスにとある男の子がいました。

彼は、所謂クラスの人気者で、いつも明るく爽やかな人でした。かといって凄く真面目かというとそうではなく、問題児ばかりで日常的に先生の頭を悩ませる男子達の中で、唯一一人だけほんの少し大人びていて、陰ながら女子にも人気があったように思います。いつも彼の周りには、誰かが居ました。クラスの隅っこであまり目立たないようにしていた私とは、別世界の人間でした。

 

 

ふとしたきっかけ

 

そんな中、定時制には給食の時間というものがあり、時間になれば食堂へと向かう人、はたまた自由にコンビニへ夕ご飯を買いに行く人と、色々な人達がいました。

私は、時々は食堂に行く日もありましたが、大抵は近くのコンビニで好きなようにご飯を買っていました。

確か、その日はもう秋ごろの寒さで、よく肉まんを買って食べていたのを覚えています。皆が食堂へぞろぞろと向かう中、いつものようにコンビニへ行き、肉まんと適当に飲み物と、ほんの少しお菓子を買って教室に戻ると、珍しく、その彼がいました。

でも、ただ自分の机に突っ伏して、寝ているのかどうかはわかりませんが、なんだかいつもと様子が違うのはなんとなくわかりました。ほとんどの人達が出払っている教室の中、二人きり。私は、静かに肉まんをゆっくり食べ始めました。

ひとり黙々と食事しているとき、ぼんやりと考え事をしていました。

何か食べたのかな。どこか具合が悪いのかな。

いつも楽しそうにクラスの人達と話している姿とは対照的に、なんだか元気がなさそうなその彼の姿をそれから何度も目にすることが増えて、気づいたら私は声をかけていました。

「大丈夫?疲れてますか?」

初めて声をかけてみたから、ちょっと緊張していたと思う。その彼、S君は、むくりと顔を上げていつものような元気そうな笑顔じゃなく、「うーん…ちょっと疲れてる」と、苦笑していました。

そんな顔を見て余計に心配になって、私はピザまんを彼にあげました。今日は、いつもよりもひとつ多く、自分の分と彼の分、両方をあらかじめ買っていた。食べなかったら食べなかったで別によかった。ただ、放っておけなかったんです。

「え、わざわざ買っておいてくれてたの?」

彼は少しびっくりしたような表情でこっちを見る。私は、「いつもS君、何にも食べてなかったから」とだけ、我ながらそっけなく答えてしまった。それでも、S君は笑顔で、「ありがとう。いただきます」とピザまんを美味しそうに頬張った。

 

それから私達は、給食の時間になって他の人達が居なくなって二人きりになると、他愛ない会話をするようになった。お互いの好きな食べ物の話、バイト先での話、色んなことを話しました。ちなみに、S君がここのところ元気がなかったのは、バイトのシフトを人の好さからなのか断りづらく、ほとんど引き受けていたことからの疲労でだったそうだ。私は、普段他の人達といるS君からは見えない、意外な一面を知る度に、なんだか嬉しい気持ちになりました。

 

 

変化

 

連絡先を聞いてきてくれたのは、彼のほうからでした。

何回かやり取りを重ねた後、告白をされましたが、まだ一度も遊んでもないし、とりあえず一度遊んで過ごしてみたいと言いました。

そして約束の日、彼はアイボリーの熊のバスケットに入れられた可愛らしい花束を持って、私に会いに来てくれました。花束なんて初めて貰ったけれど、彼曰く、偶然通りがかった花屋さんで、そのつぶらな瞳と目があったそうだ。彼のそんな少しお茶目で可愛らしい部分に、私は惹かれていきました。

告白の返事に、彼はすごく喜んでくれて、私達はただのクラスメイトから恋人になりました。学校でずっとくっついてることはなくても、お互いのバイトが休みの日や記念日は、ドライブに行ったり、一緒にお泊りをして美味しいものを食べたり、ずっと一緒に居たいと、その時は思っていました。

 

けれど、私にはある不安がありました。

それは、女友達やクラスメイト、色々な人から聞く、彼に関する噂。

 

定時制は、バイクでの通学や、車通学が許されていました。そのため、お互いのバイトがなくて登校時間の前に二人で会っていても、車を持っていない女友達に、登校のために迎えに来て、と言われれば、当たり前のように迎えに行っていました。

私は嫉妬深い性格だったけど、揉め事になるのが正直面倒でした。今思うと、本当のことを知りたくなかったんだと思います。

ただのお迎え、ただの女友達。その中に、彼の初めて好きになった元カノがいても。自分の目で見ないことを、信じないようにしていました。

 

 


隣にいるということ

 

結局私と彼は、役二年半ほど付き合って別れました。

彼、S君は、同じクラスの女友達だけでなく、私の知らない色んな女性とも関係がありました。さすがに、喧嘩している間にその例の元カノと日帰りの温泉旅行に行っているのを知ったときは、もう無理だと思いました。乗り換えるならそうしてくれとも思いました。私と別れてすぐに、彼はその元カノと付き合い始めました。私はたくさん泣いて、当時親友だった子に愚痴も弱音もたくさん聞いてもらって、卒業後、仕事に打ち込みました。

でも、彼からの連絡は時々きていました。私もブロックすればよかったものをそのままずるずると返信していたので、いつの間にか、彼の彼女との悩みや相談事を聞いていました。正直、私自身彼に対して未練があったんだと思います。だから、どんな形でも、彼の支えになりたかったんです。気持ちがとっくに私にはないことは、わかっていました。

彼女とのデートの後、私に会いにくる彼を、癒してあげられてたらいいなって思いました。

彼女に対する罪悪感は、ありませんでした。

 

 

 

結末

 

そんなずるずるとした関係にも、やがて終わりがきました。

 

なんと彼は私と付き合っていた当時、同じクラスにいた私の小学生の頃からの幼馴染みと、体の関係があったと笑いながら話しました。彼は思い出話のつもりで話したようですが、これまでの人間関係で、ここまで人間不信になるようなことを聞かされたのは初めてでした。幼馴染みは、既婚で、第一児を出産したばかりでした。

限界でした。

小学生の頃から一緒の、大好きだったはずの幼馴染みも、その幼馴染みと関係を持ちながら私に好きだと言っていたその彼のことも、本当に生理的に受け付けなくなりました。気持ち悪く感じてしまいました。

数年間の間でうつになり、不安障害にもなって、現在に至ります。

 

まだ恋愛は怖いです。人というものも、信じられなくなってしまった自分がいますが、これまでの経験は、自分の心の弱さと向き合う機会をくれました。怖いと思うことから目をそらさず、立ち向かう強さも学ぶことができました。

もう幼馴染みだった子も、好きだったその人もどうしているかはわからないけど、

綺麗な憧れに包んで見ているだけでは、本当のことなんて何も見えはしないのだと、今は強くそう思っています。

mflkff著

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