学校での出合い

初めて告白されたときのこと

それは小学校2年生の時だっただろうか。同じクラスのFさんが「私のことが好きだ」と言っていた話を人づてに聞いた。半信半疑であったが、その話は本当だったことがすぐにわかった。

話が広まって間もない内に、Fさんは私への距離を急激に近づけた。まるで前の車との車間距離をギリギリまで詰める煽り運転のドライバーかのようだった。

この日を境に、私はFさんに翻弄(?)される日々を送ることになるのだ。

その子は少女マンガから生まれた?

間接的な告白を受ける前、私はFさんのことをあまりよく知らなかった。クラスの中でもそこまで目立つタイプではなく、どちらかというと大人しい女の子だった。

そんなある日のこと。同じクラスの女の子から「Fさんってあなたのことが好きみたいよ」という話を聞いた。当時は異性から告白されたことがなかったので、私はその時大層喜んだものだ。

程なくして、Fさんは急激に私へのアプローチをかけてきた。声からして私のことが相当気になっていたようだ。そして、ベールに包まれたFさんの素顔が明らかとなる。

一言で言うならば「乙女」。これしかない。服装はいつもどこかしらにピンクをあしらったものを身につけていたし、家ではいつものようにお人形と遊んでいるという話も聞いた。

しゃべり方や趣味からして、少女マンガに出てくるキャラクターが現実世界に現れたかのような子だった。そして、まだ恋を知らぬ私に対する熱意は相当なものだった。

始まった猛アプローチ

Fさんのアプローチときたらもう怖いくらいだった。列に並ぶときは必ず私の前後を確保し、校外での活動の際は私の許可なしに手をつないでくる。子どもだから許されるが、大人でこれをやれば犯罪になりかねない。

極め付きは首筋にキスをしてきたこと。キスをする場所としてはかなり変わっている。この時、私はFさんのことを吸血鬼か何かだと信じて疑わなかった。しかも、人がいる場所で数回にわたってである。周りから見れば、完全に「バカップル」のそれにしか見えなかったはずだ。

私への好意が完全に振り切ってしまい、少々度が過ぎた行動に及んだこともあったことがわかる。しかし、私も生まれて初めての恋だから悪意は一切感じなかった。むしろ当時は歓迎していた記憶がある。

休み時間もいつしか私と行動を共にするようになっていた。いつもではないが、私が友人と遊んでいるとその輪の中にいつの間にか彼女はいた。友人も「まあ、あいつらだからしょうがない」という気持ちがあったのかもしれない。

将来の夢とFさんの「熱意」

Fさんは将来看護師になりたいと日頃から話していた。当時、具体的な将来の夢がなかった私からすると将来の夢を持っている彼女のことが羨ましかった。

彼女はこの時から夢を叶えるよう努力していた。例えば、近くにけがをした人がいれば真っ先に手当てをしていたし、クラスでの保健委員の仕事にも精力的だった。彼女の優しさはクラスの誰もが知るもので、私もいい看護師になれるのではないかと思っていた。

クラス替えなどもあり、彼女とは徐々に疎遠になっていったが、卒業してから看護師を養成する学校に通い始めたことを聞く。「あの時話していたことは本気だったんだな」と改めて思った。

月日は流れ、成人して間もないある日に中学校の同級生での同窓会が行われることになった。その時、数年ぶりにFさんとの再会を果たすこととなるのだが、彼女はこの数年間で相当恰幅がよくなっていた。例えが悪いかもしれないが、かわいらしいウリ坊からたくましいイノシシに成長した姿を見たような気持ちだった。

残念ながら看護師にはなることができなかったが、准看護師として働いているとのことだった。それでも、幼いころからの夢を叶えた彼女に対して敬意を払わずにはいられなかった。「すごいなあ!」と声を掛けたわけではないが、内心では心から祝福していた。

ここまで見ていると、彼女の「熱意」は恋愛にしても将来の夢にしても相当なものがあるということがわかる。大人になってFさんのことを思い返してみると、目標や夢に対する熱量の高さは半端なものではなかった。

どちらかというと大人しい性格のFさんだったが、見た目だけではその「熱意」はわからない。しかし、内に秘めるものはとてもギラギラしており、私も目を見張るばかりだった。

夢を叶え、目標を達成するための「熱意」は大人になった今でも彼女から見習わないといけないのかもしれない。

 

710著

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