人生には3度のモテ期が存在するらしい・・。
アヤカは、モテ期を信じて待つ26歳会社員。
まだ一度もモテ期は訪れていない。
いずれ来るはずのモテ期のために、いつでもスタンバイしているそんなアヤカの物語。
高嶺の花

「聞いてー。この前合コンで知り合ったコウタ君から告白された!」
そう報告してくるのは合コン仲間のモエカ。
「えっ?だって先週シンジ君とデートしてなかった?」
「デートしただけで付き合ってるわけじゃないし。シンジ君は収入は安定してるけど、顔はコウタ君の方が断然好みだもん!今週末初デート。」
毎回モエカは合コンに参加するたびに新たな恋を満喫している。
私はというと・・連絡先を交換しても一向に連絡がくることはない。
「アヤカは美人だから高嶺の花なイメージがあるんだよねー。ガードが硬いっていうか。
それにさ、合コン中もみんなの飲み物のオーダーしたり酔っぱらった人介抱してくれたり常に気を配ってるでしょ?あれだと近づきずらいっていうかさ。
コウタ君も言ってたよ。『顔はアヤカちゃんが可愛いって思ったけど、でもなんかずっとみんなの世話しててお母さんみたいだよね』って。」
それを聞いてショックを受ける。
ーお母さんって・・。
確かに私は合コンに行っても常に周りに気を配っている。
配っているというか、自然と気になって動いてしまう。
それは子供の頃からだ。
小学校・中学校ではずっと学級委員長、高校では生徒会長もやった。
そんな私についたあだ名は【委員長】。
もちろんその性格のおかげで先生たちからの評価は高く、進学の時も第一希望ですんなり推薦してもらえた。
いつでも優等生の私は周りからの期待も大きかった。
その期待に応えようと学生時代は勉強を、就職してからは仕事をと、とても真面目に取り組んだ。
そして気がつけば26歳。
周りの友人たちは次々と結婚・出産していく。
親からも最近は「いい人はいないのか」と聞かれるようになり、自分が恋愛をしてこなかった事実に焦りだしたところだ。
鏡で自分を覗いてみる。
「うん。顔は悪くないと思う・・。」
ーお母さん。
モエカに言われた言葉を思い出し、ため息をつく。
ずっとこうして生きてきた。どうすればいいのか正直わからない。
「このままの私を受け入れてくれる人、どこかにいないかなぁ。」
そう独り言をつぶやいてベッドに入る。
モテ期は突然に!

今日はモエカが合コンで出会った会社経営者のユキト宅のパーティーに招待された。
正直会社経営者ってどんな人種なのかわからない・・。
「とりあえず失礼がないようにきちんとした服装で行かないとね。」
そう独り言を言いながらクローゼットをあさってみる。
「よし、これでいいいかな。」
私は淡いピンクのワンピースにベージュのジャケットを羽織って家を出た。
駅に着くと、モエカが待っている。
「ごめん、待った?」
「私も今来たところ。そんなことより、今日は頑張ろうね!
ユキトくんのお友達は経営者仲間が多いから、きっと素敵な出会いがあるよ♪」
モエカに言われて私も気合が入る。
『うん、今日の出会いは絶対次につなげないとね!』
私たちは手土産のケーキを買ってユキトが住んでいるタワマンに向かった。
「いらっしゃいモエカちゃん。こちらがお友達のアヤカちゃん?噂通り美人だね。初めまして。」
出迎えてくれたユキトが挨拶してくれる。
「初めまして。今日はご招待いただきありがとうございます。」
私も挨拶を返す。
「どうぞ上がって。」
リビングに通されるとそこにはすでに20人くらいの人が集まっていた。
男性も女性も楽しいそうに談笑している。
起業した人、家業を継いだ人、起業のために準備をしている人・・。
平凡なOLの私には場違いな感じしかしなかった。
『なんでモエカはすでに溶け込めているのか不思議・・・』
私は話についていけず、バルコニーに出て外の空気を吸う。
「疲れてるの?」
声を掛けられ振り向くと、そこにはユキトの友人のリョウが立っていた。
「ちょっと、場違い感が半端なくて・・・。」
そう言ってうつ向くと
「お友達のモエカちゃんはかなり楽しんでるみたいだね。」
そう言って飲み物を差し出しながら隣に立つ。
「モエカは昔から誰とでも打ち解けるのが早いんです。私は人見知りで・・。」
「今日モエカちゃんを呼んだのは、アヤカちゃん目当てだよ。」
「えっ?私?・・なんで?」
言われている意味がわからない。
「この前の合コンでモエカちゃんが、すっごい美人なのに全然彼氏ができない友達の話をしててさ、写真見て一目惚れしたの。」
ニッコリ笑いながら、そんなことを私に言ってくる。
『モエカったら、人のことネタにして』
そう思っていると、そこにユキトも
「二人で何話してるの?」
とユキトもやってきた。
「内緒の話だよ、ね?アヤカちゃん。」
リョウがそう返すと
「抜け駆けはやめろよ。モエカちゃんにアヤカちゃん連れてきてって頼んだのは俺なんだからさ!」
ユキトにそんなことを言われ反応に困っていると
「写真よりも実物の方が、数倍キレイだね。よかったら連絡先交換してほしいんだけど。」
今まで社交辞令で連絡先は交換してきたけど、こんなふうに連絡先を聞かるのは初めてで完全に固まる私。
すると横からリョウが
「ちょっと待てよ。俺が先だろう。ね?アヤカちゃん。」
とリョウも携帯を出しながら私に言ってくる。
ユキトもリョウも経営者で顔も爽やかなイケメン。
絶対にモテているであろう二人からの申し出に、私は状況が飲み込めない。
そんなやり取りをしていると
「あ!ユキトくんここにいた。探したよー。」
ユキト狙いのモエカもバルコニーにきた。
「3人で何話してたの?あっちでみんなで飲もうよ。」
「あ、うん。そうだね。」
リビングに戻ろうとしたところでリョウに
「後で連絡するから。」と耳打ちされた。
考えてもみなかった展開に戸惑うばかりの私。
『もしかしてモテ期到来?』
そんなことを考えながら私はモエカの待つリビングへと戻っていった。
私の運命の人

パーティーの日から2日後。ユキトからもリョウからもお食事の誘いがきた。
連絡先を交換して誘われるのはこれが初めて。
緊張しながら私が選んだのは・・・リョウだった。
【先日はありがとうございました。お誘いありがとうございます。ぜひ行きたいです。】
こんなやり取りに慣れていない私はどう返事したらいいのかわからなかったが、とりあえず行きたいという意思表示だけはできたと思う。
返事をするとすぐに既読になった。
【嬉しいよ!じゃあ早速だけど今週の金曜日とかどうかな?】
『今週か、ちょっと緊張するけど早く会いたいな。』
【はい!大丈夫です。楽しみにしています。】
男性と二人きりで会うなんて何年振りかも思い出せない。
緊張しながら迎えた金曜日。
リョウが選んでくれたお店に向かう。
「アヤカちゃん、来てくれてありがとう。」
「あの、気になったんですけど、どうしてリョウさんは私を誘ってくれたんですか?」
「初めて会った時に、写真見て一目惚れしたって話したでしょ?それに周りの女の子たちは俺に媚びてくる子が多くて。好意は嬉しいんだけど、魂胆が見え見えでさ。でもアヤカちゃんは違ったし、何よりユキトの家でさり気なく食器下げたり、散らかってる物を片づけたりしてるの見て、気配りできる人だなって思ったんだ。」
こんなふうに褒められるのは初めてで照れてしまう。
「それよりアヤカちゃんこそ、どうして今日来てくれたの?ユキトからも誘われてたでしょ?」
そう、私はユキトさんからの誘いはお断りしていた。
モエカに話したら「二人とも会ったらいいじゃん!」と言われたが、私はそんなに器用ではなかった。
「ユキトさんの家でリョウさんは話を盛り上げたり、飲み物を運んでくださったり、優しい方だなと思って。それで・・。」
「そっか。そんなふうに見ててくれたなんて嬉しい。良かったらこれからも食事とか付き合ってくれるかな。」
「はい!ぜひ喜んで。」
それから私たちは何度か食事をしたり、映画を見に行ったりとデートを重ねて真剣にお付き合いをすることになった。
私がリョウを選んだことでモエカは本格的にユキトにアプローチを始めたらしい。
人生には3度のモテ期があるという。
でも私は1度目でリョウと出会うことができた。
今が幸せなので、モテ期は1度でいいかなと思う。
「今度うちの両親がアヤカに会いたいって言ってるんだけど。」
「えっ?ご両親が?」
ちょっと緊張するが私の答えは決まっている。
「もちろん、喜んで!でもちょっと緊張するな。」
「アヤカなら大丈夫だよ。俺が保証する!」
リョウに言われて思わず笑顔になる。
これからもこの幸せが続きますように。
そう願いながら、私はリョウの手を握り締めて一緒に歩きだした。
mlerv著






















