結婚式で誰よりもむせび泣く新郎を見たことはありますか?
私の友人「優紀(ゆうき)」の旦那「健太(けんた)」は、結婚式の新婦入場でボロボロ泣いていました。
式場のスタッフにティッシュを渡され、新婦を託す義父に慰められる新郎。
私は「この旦那、大丈夫か?」と思ってしまった記憶があります。
しかし子供が産まれるまでのエピソードを聞くと、実はとても男前な男性だったんです。
涙もろい健太と優紀の思い

旅行会社に勤める優紀には、家電量販店に勤める彼「健太(けんた)」がいます。
出会いは友人の紹介で、真面目で優しそうな彼。
一方で涙もろい一面があり、動物のドキュメンタリー作品では、必ず泣いてしまうのだとか。
彼の素朴で素直なところに惹かれた優紀は、健太と恋人になりました。
やがてお互いに結婚を意識するようになり、それぞれの両親に挨拶を済ませると、同棲を始めます。
彼は一人っ子なので、彼の両親は「娘ができた!」と、とても喜んでくれたそうです。
いつ籍を入れるか考えていた2人ですが、優紀は籍を入れる前に、健太に話さなければならないことがありました。
自分の子供は欲しくない、ということです。
子供が苦手なわけではありません。
友人や親戚の子供を可愛く思っているし、たまに会うのも楽しみにしています。
それでも自分の子供が欲しいとは、なぜか思えなかったそうです。
優紀の妹には子供がいるので、自分の両親の心配はしていませんでした。
しかし健太は一人っ子です。
優紀が子供を産まなければ、義父母に孫の顔を見せることはできません。
何より彼自身が子供を欲しがっているのを知っています。
自分の気持ちを隠したまま結婚するのは、お互いのためにならない。
優紀は思っていることを、正直に伝えました。
一緒にいたいから結婚したいだけ

「健太の子供を産んであげられないかもしれない」
そう言う優紀に対し彼はまず、体の心配をしてくれました。
妊娠が難しい体なのか、何か病気を患っているのか、と。
しかし優紀に持病は無く、いたって健康です。
次に子供が嫌いなのかと聞かれました。
それも違います。
子供は好きだし、可愛いとも思っています。
優紀は、理由は分からないけど、自分の子供は欲しくないことを伝えました。
しばらくの沈黙の後、彼が口を開きます。
「正直に話してくれてありがとう。言いづらかったよね。ひとりで悩んでたの、気付いてあげられなくてゴメンね。」
最悪フラれることも覚悟していた優紀は、謝られたことに驚きました。
「健太が謝ることじゃないでしょ。健太は子供が欲しいって言ってたのに、私と結婚したら子供できないかもしれないよ?幸せになれないよ?」
「子供は欲しいけど、子供のために結婚したいんじゃないよ。優紀と一緒にいたいから結婚したいんだよ。」
この言葉を聞いて優紀は泣いてしまい、彼女を慰める健太も「大丈夫だよ」と言いながら泣いていたそうです。
子供を産むのは義務じゃない

優紀は、籍を入れる前に健太の両親にも話したいと言いました。
彼は「俺から伝えておこうか?」と言ってくれたのですが、大事なことなので自分で伝えたかったのです。
彼の実家に行くと、いつも天ぷらを作ってくれます。
優紀の好物が天ぷらと知ってから、毎回用意してくれるのだそうです。
その日も天ぷらを振舞ってくれました。
優紀は健太に話した時と同じように、正直な気持ちを伝えます。
子供を望んでいないこと、健康面の問題ではないこと、具体的な理由は自分でも分からないこと。
すると彼の母は「まぁ子供のことは夫婦で決めることだから」と、あっさり受け入れてくれました。
彼も、彼の父も黙って頷いていましたが、優紀は困惑します。
健太は一人っ子なので、孫が見れないかもしれないことに、落ち込むだろうと思ったからです。
「子供は義務で産むものじゃない。2人で決めたことならそれでいい。」
その言葉を聞いて、優紀は泣いてしまいました。
突然の変化

結婚後は、親戚や知人から「子供はまだ?」と聞かれることが多々ありました。
たしかに結婚の次は、子供を期待するのが一般的な流れですよね。
そのたびに複雑な気持ちになる優紀ですが、健太やお互いの両親がフォローしてくれて、心強かったそうです。
幸せな新婚生活をおくっていた優紀ですが、ある日、転機がおとずれます。
いつものように夕食を食べる2人。
何度も美味しいと言いながら食べる健太を見ていると、ある思いが浮かびました。
「彼の子供を産みたい」
なぜそう思ったのかは、今でも分からないそうです。
涙もろい健太の愛は偉大!

しばらくして妊娠の兆候が表れた優紀は、健太と共に病院へ行きました。
結果、めでたくご懐妊!
健太はその場でボロボロ泣きだしたそうです。
優紀と看護師さんになだめられても泣き止まず、帰宅する頃には目が赤くなるほど。
彼の両親も驚きながらも喜んでくれて、また全員で泣いてしまいました。
現在は無事に出産し、可愛い女の子の親になった優紀と健太は、忙しくとも楽しく子育てに奮闘しています。
子供のことを「愛の結晶」と言いますが、この娘ちゃんは本当にその通りです。
だって優紀が健太と結婚しなければ、優紀は子供を欲しいと思わなかったかもしれません。
子供を産みたいと思った理由は分からない、と言っていた彼女ですが、理由は「愛」だったのではないでしょうか。
ちょっと涙もろい彼ですが、心からの愛が優紀に伝わり、その愛が子供を望む心になったように思います。
この話を聞いて、私の健太さんに対するイメージは「ボロ泣き旦那」から「心は男前」に変わりました。
今度おうちにお邪魔する時は、ちょっとイイお酒を持って行くとしますかね!
699著





























