★出会い

彼女に初めて会ったのは社会人1年目の春。
高校を卒業してから地元の企業に就職した僕は、会社の研修で県外に行くことになった。研修先では同期のメンバーとも離れ、誰も知り合いのいない中での研修が始まった。
その研修先で指導してくれたのが先輩A子さんだった。A子さんは身長170cm近くのモデル体型で、とても整った顔立ちをしていた。性格はとても明るく誰とでも気さくに喋れる職場のムードメーカー的存在でもあった。A子さんは当時24歳で、社会人1年目の僕にとって憧れのお姉さんという印象だった。
僕はどちらかというと内気な性格で、あまり自分から人に話しかけるタイプではなかったが、A子さんは何もわからない僕に優しく仕事を教えてくれて、休憩時間も気さくに話しかけてくれた。
★スポーツ大会

ある日A子さんと話していると、高校時代にバドミントンをしていたということを聞いた。実は僕も幼いころからバドミントンをしていて、話が一気に弾んだ。
そして夏に会社でスポーツ大会があるという話を聞き、そこでバドミントンに一緒に出ないか?と誘われた。もちろん即答で「出ます!」と言いたかったが、A子さんは周りの先輩達からも人気があり、当時の僕は周りの目を気にして「すいません、ちょっと考えさせてください」と言ってしまった。
そしてスポーツ大会当日。僕は悩んだ挙句、同期と出るという選択をしてしまった。そしてA子さんも他の先輩とダブルスを組んで出場していた。
出場人数は30人ほどの大会だったが、お互いに勝ち進み決勝でA子さんのチームと戦うことに。そしてフルセットまで持ち込んだが敗北。A子さんのチームが優勝した。
試合後に
A子さん「私と組んでおけば優勝できてたのに~」
僕「シングルスなら負けなかったんですけどね」
A子さん「じゃあ今度体育館借りて勝負しようよ」
という会話をした。
半分冗談だと思っていたが、大会の数週間後にA子さんから「いつ体育館借りる?」と言われ、日付を決めて体育館を予約した。
そして当日。
軽く練習した後で、シングルスの試合をした。結果として試合は僕が勝ったが、もはや勝敗なんてどうでも良かった。ただ一緒にバドミントンができたことが嬉しかった。
15時から2時間ほどバドミントンをして、A子さんから「負けたからご飯奢ってあげる」と言われファミレスに行くことに。
ご飯を食べている途中僕はずっと告白しようか悩んでいた。一か月後に地元に帰る事がわかっていたので、「仮に成功しても遠距離になるからな~」とか「失敗したら帰るまでの間気まずくなるよな~」とかいろいろ言い訳を考えて結局何も言えずにその日は別れた。
▼別れ

一緒にバドミントンをしてから一か月が過ぎ、地元に帰る事になった。研修先は地元から車で7時間ほどの距離にあり、もう会えないのかと思うと本当に寂しかったが、とうとう告白することができずに別れを告げた。
地元に帰ってからもA子さんに近況報告をしたりたまに連絡したりはしていたが、徐々に回数は減っていきそのうち連絡をとらなくなった。
★再会
そして8年の歳月を経て研修先に再び行く機会が訪れた。3日間だけの出張だったが、A子さんに会えるかもしれないと期待していた。連絡をしようかとも考えたが、8年も連絡をとっていなかったので、今更馴れ馴れしいかななどと考え連絡はしなかった。
そして出張に行き、1日目、2日目と会えずに3日目の帰り間際に会社の廊下でA子さんとばったり再会。
A子さん「え!?久しぶり!!何でいるの?」
僕「お久しぶりです。会社の出張で来てて。もうすぐ帰るんですが・・・」
A子さん「連絡してくれれば良かったのに~」
と会話をしていたが、途中であることに気づいた。
彼女の左手薬指に指輪が。
僕「A子さん、結婚したんですか?」
A子さん「うん、去年結婚したんだ」
僕はショックだったが、少し会話をした後こう切り出した。
僕「実は前に一緒にバドミントンをした日、告白しようと思ってたんです。ずっと好きだったんで。もしあの時告白してたら何て答えてました?」
A子さん「私も好きだったよ。遠距離でもいいかなとも思ってたし。何となくはわかってたけど言い出せなかったな~。あの時どっちかが言ってたら今頃どうなってたんだろうね。」
それから自分が何を言ったかはあまり覚えていないが、僕は帰りに車の中で一人泣きながら帰った。
kookai 著






























