サークルでの出会い

交際においての優先順位

恋人との交際において、優先順位というものが少なからず生まれてくるものではないだろうか。

今回は女性の友人が経験した交際においての優先順位についてのお話をしようと思う。

部活動での友人との出会い

その友人とは大学の軽音楽部で出会った。

彼女は2年生からの入部だったが、経験者だったこともあり入部してすぐに部活に馴染んでいた。

1年生の時には同じゼミに所属していたこともあり、お互い見知っていた。

彼女は、初心者から入部した私にとっては羨ましいほどに周りに溶け込むのが早かった。

幾度も彼女とライブに出演したが彼女はそつなくこなし、バンドでの演奏の柱のような存在だった。

同期との交際

彼女が入部してからはや1年が経ち、我々は部活動の運営側にも立つことになった。

そこで彼女が所属した役職は、彼女以外は男性で仲のいい3人組で就いた役職だった。

1年という遅れを持って入部した彼女だったが、その役職の2人とは瞬く間に仲良くなっており、運営上でも安心して任せられる3人だった。

自分達の活動だけでなく、運営もあり日々忙しく過ごしていた矢先に、彼女はその役職の1人の同期と交際をし始めた。

その同期とは入部当初から私も仲が良く、おどけることも多かったが真摯な一面もある人間で、何一つ問題などないのだろうと思って見守っていた。

同期は男性であれ女性であれ、人当たりがよく距離の近い接し方をする人間だった。

そのため女性との距離感に対しては度々喧嘩もしていたようだったが、彼は真摯に受け止め話し合うことのできる人間なので、毎度お互いの落とし所を見つけては仲直りをしていると聞いていた。

喧嘩は避けては通れないが、何より話し合う事が大切なのできっと上手くいくだろう。

そう思っていた。

時は経ち

彼女達が交際し始めてから、別れたなどの話もないまま私たちは大学を卒業した。

彼女は卒業してからもバンド活動を続けており、自分なりの人生を謳歌していた事だろう。

SNSでも彼とのデートの投稿などもしており交際も続いているようだった。

そんな中、彼女から1通のLINEが届いた。

「少しだけ電話できない?」

電話どころかメッセージのやり取りすら滅多にしていなかったので非常に驚いた。

「珍しいな、何かあったん?」

と聞くと直接話を聞いてほしいという旨の返信が届いた。

とにかくいい話ではないのだけれど、ひとまず相談に乗ってほしいのだそうだ。

何はともあれ聞いてみないと何も分からない。

「分かった。とにかく夜は時間を作るよ。」

とだけ返信して私は仕事に戻った。

優先順位

平たくいうと、先日デートをしていた際に彼から選択を迫られたらしいのだ。

「俺と別れるか、バンドを続けるかどっちかにして欲しい」

究極の2択過ぎる。

彼女は社会に出てからも好きでバンド活動を続けており、決して彼との交際を疎かにしているつもりではなかったらしいのだが、彼は不安を感じていたらしい。

成功する確率の低い夢を追う事で、経済的にも窮屈な日々を送っていた彼女に不満すらあったのだという。

もちろんバンドをしていることで彼との時間を確保できないこともあるし、バンドのメンバーは彼女以外男性で、心配も大きかったようだ。

そのようにして少しずつ日々の不満や不安を溜め込んでいた彼は、意を決して選択を迫ったのだ。

彼は彼女との結婚すら考えていたらしいので、尚更(なおさら)将来に対して不安にもなったのだろう。

長い交際の中で、自分が相手を思うほどには彼女は自分に対しての優先順位がないのではないかと。

それにしても話し合いすらしないまま、彼女の話を聞かずに究極の選択を迫るのも酷な話だ。

幼少期から音楽に触れていた彼女は、音楽を急に失うと抜け殻のようになるんじゃないかと縋(すが)り付くように2人とも仲のいい私に連絡をしてきたのだ。

とはいってもこういった話は、2人以外の何者が決定権を持つものでもないのだ。

何より話し合いをすることでしか落ちどころを決める方法はないと思ったので、

「とにかくなぜ彼がそういう決断をするに至ったのかを2人でよく話し合うべきだ。」

というアドバイスだけをして、電話を切った。

その後の2人

あの電話から1ヶ月ほど経ち、彼女から進展の報告が来た。

なんとか交際を維持したままバンドを続けられることになったらしい。

彼の本音は予想していた通り、自分に対しての優先順位を感じられなくなったことによる不安からだったようだ。

喧嘩やトラブルの度に話し合いをしようとしていた彼でさえ、不安には勝てなかったのだ。

1人で考え込んでしまい、行き過ぎた独断を選択してしまったのだ。

交際においては、そんなつもりがなくたって相手を不安にさせることがあるので、やはり話し合いはお互いに理解するための重要な手段なのだ。

何はともあれ悲しい2択のどちらかになることもなく解決できたのだ。

これ以上に喜ばしいことはない。

その日は1人でお酒を飲みに行った。

最後に

あの時の彼が自分だったらどうなっていたかと良く考える。

思い込みの強い自分のことだ、彼のような決断をしてしまっていたかも知れない。

反面教師ではないけれど彼らからは大切なことを改めて実感させてもらえたように思う。

今の優先順位の頂点がバンド活動の私にとっては、しばらく縁遠い話ではあるのだが。

krgpaop著

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