始まり
この話は、私の妻(ケイ)が体験した恋愛を元に記事にしたものである。
ケイが上京して女子大に入学したのが19歳の時。
都会に出て友達も少なかったことから、サークルに入って新たな友達を作ろうと考えていた。
当時流行っていたのは、“オールラウンドサークル”だった。夏はバーベキュー、冬はスノーボードなどの多岐にわたるアクティブな活動をしていた。
しかし実態は、半ば出会い目的の活動であって、参加している人もキラキラと派手な人が多かったので、ケイの選択肢にはなかった。
他のサークルを検討していたが、運動はこれっぽっちも出来なったので、自分でも出来そうなボランティアサークルに決めた。
そのサークルは、インカレッジ制度を導入していたので、他所の大学の方とも触れ合える良い機会となった。
サークルの規模としては総勢40名程で、男女比は半々といったところ。
月に2回程度の活動を通して、様々な方と友達になることが出来た。

お花見
大学2年の4月。
ボランティアサークル恒例の、お花見の季節がやってきた。
日が少し陰りはじめ、参加者の頬が徐々に赤く染まってきた頃、ケイはトイレに行くために席を立った。
その帰り道、4~5歳ぐらいの女の子がわんわんと泣いているのを発見。
咄嗟に声をかけてみると、親とはぐれてしまったと判明した。
「一緒にご両親を探そっか!」と女の子(サキちゃん)に安心してもらい、付近をうろうろするもご両親を見つけることは出来なかった。
途方に暮れかけていたところ、ボランティアサークルに所属している2歳年上の小林という男性が、一緒にご両親の捜索に加わってくれることになった。
彼の起点で、サキチャンを迷子センターへ連れて行くことにした3人。
センターへ向かっていた道中で、サキちゃんのご両親と幸運にも遭遇することができた。
サキちゃんは両親に再会できた嬉しさでまた泣いていたが、ケイと小林はお互い安堵の表情を浮かばせていた。
ご両親から何度も頭を下げられて、気恥ずかしい思いがあったので、その場を立ち去ろうとした矢先。
「せっかくなんで・・・サキちゃんとケイと私の3人で、写真を撮っても良いですか?」小林がご両親に頼み込んでいた。
写真を撮り終えて満足気な小林とケイは、サークルの元へ向かった。
道中「さっき撮った写真を送りたいから、メールアドレスを教えてくれないかな」小林から言われたので、ケイは疑うことなくアドレスの交換をした。
それから小林と意気投合したケイは、その勢いのまま交際へと発展していった。

交 際
池袋サンシャイン水族館での初デートを皮切りに、プール、花火大会、イルミネーション、ディズニーランド、箱根旅行など大学生らしいお付き合いを3年間。
小林がバイクを所持していたので、都内のデートは専らタンデムで移動していた。
後に、ケイがバイクに乗るきっかけを作ってくれたといっても過言ではない。

ダメ男
小林との交際は順調かと思えたが、実際はそうではなかった。
初デートから彼のとある片鱗が、垣間見えていたのである。
それは、“ドケチ”ということだった。
外食を嫌がり、買い物にも口出し、例えばTシャツ1枚買うにしても、「10年後も着れるデザインじゃないと意味ない!」と言い放つ。
ケイの学生マンションに来て、冷房暖房の禁止。人の家に上がり込んで、電気代の強制とかどういう思考回路をしているのか理解し難い。
逆によく3年間も付き合っていたものだと聞いて呆れてしまった。
極めつけは、小林が会ったことがないにも関わらず、ケイの兄の悪口を言い放ったことだった。
当時ケイの兄は統合失調症を患ってしまい、家族全員大変な時期だったにも関わらず、それを心配するどころか、忌み嫌う発言をしたのだ。
そんな小林にケイは愛想をつかした。
そして事あるたびに小林へ別れ話を切り出すも、彼が断固としてそれを拒んだ。

別 れ
小林と幾度となく別れようと努力をしていた裏で、ケイはアルバイト先の男性である加藤と良い雰囲気になっていた。
新しい恋の予感がしたので、「新しい彼氏が出来たから、さようなら。」餞別と言わんばかりに、小林へメールを送り付けた。
これで距離を置けるかと思いきや、それでもなおしつこく付きまとってきた。
小林には、ケイの住所を知られているので、最終手段として何も告げずに引っ越しを決意。
物理的にも離れることが出来たお陰で、音信不通の対応を取れることになった。
妻が何気にフェイスブックを見ていたところ、小林のアカウントを見つけた。
最終更新が5年前。内容は、ケイと付き合っていた当時のことを未練タラタラに書いてあり、妻が嫌悪感をあらわにして読んでいたのが印象的だった。
そんな話。
t601著
























